2005 Fiscal Year Annual Research Report
「市民社会型資本循環」の基盤としての市民統治公団の実態研究:シアトルの事例に基き
Project/Area Number |
17530384
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
前山 総一郎 八戸大学, ビジネス学部, 教授 (80229327)
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Keywords | エコノミーソシアル / 社会経済 / コミュニティ / 住民投票 / 課税意思 / 市民社会 / ガバナンス / 住民自治 |
Research Abstract |
近年欧米においても着目されている「市民社会型資金循環」研究にむけて、先進地米国シアトル市における各方面のヒアリング(市役所関連部署、郡政府関連部署、市民立モノレール公団等)を通じ、アメリカ先進地における「市民社会型資金循環」の実際と構造についての検討に取りかかった。「市民社会型資金循環」は、地域コミュニティに地区市民の意向にそって地区社会の公益のために地区市民の意向にもとづき社会全体の資本を環流することを保証するしくみであるが、ガバナンス論の国際比較(B.Denters & L.E.Rose2005)にあっても、ローカルガバナンスのソフトウェアの柱をなすものとして着目されている。 本年度は、ヒアリング調査・資料収集と理論研究に基づき、第一に「市民社会型資金循環」がビジネス経済の領域を含みつつそれをこえるものであることから、社会経済(economique sociale)における市民主導での資金循環のしくみ((1)NPO経済、(2)Empowerment Zone等のコミュニティ支援経済、(3)地区課税意向投票をはじめとする市民基金型経済)を措定し、その今日的可能性を確認した。 第二に、上記社会経済にあってとりわけ地区課税意向投票での市民基金型経済(上記(3))について、どのような背景でそのシステムが稼働し得るのかという観点で、具体的に米国24の州にあってとりわけ先進諸市において地区の公園、図書館、地区軽交通設置に実施されている「市民主導型課税意向投票」Levy Voting)の在り方を、1974年の住民による「投票発議革命(Ballot Initiative Revolution)以来の運動論展開に基づき確認した。 平成18年度は、これら17年度の作業進展に基づき、 (1)地区コミュニティ施設への地区課税意向投票の実際的可能性と制約 (2)地区課税意向投票に基づく、市民立公団(citizen-governed authority)の可能性と制約 を検討し、欧米日本において端緒についた「市民社会型資金循環」研究と実践論にあたっての方向性を提起できるまでに進展させたい。
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Research Products
(2 results)