2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530386
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鹿又 伸夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30204598)
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Keywords | 地位達成 / 教育達成 / 機会格差 / 世代間移動 / 世代内移動 / 同時分析 |
Research Abstract |
今年度の研究成果の第1は、教育達成の各移行(高校進学、高校卒業、大学進学)における機会格差ついて、時間的な変化と国際比較研究を同時に分析できる可能性を提示したことである。これらを時間的変化と国際比較を別個におこなう研究は多いが、同時に行うことは統計的分析手法上で難しい問題をもっている。この課題を解消するためのOrdered Logit Modelを提唱し、日本と韓国の調査データをもちいた分析を行った。その結果、(1)日本における出身階層による教育機会格差は他の研究者が指摘するほどは大きく変化していない、(2)日韓の教育機会格差はそれほど大きな相違がない、(3)日本にくらべて韓国では古い出生コーホートでの不利が大きく、またその消失が急速に進んできたことなどの知見がえられた。これらの成果は、数理社会学会機関誌『理論と方法』において発表した。 もう1つの成果は、Multinominal Conditional Logit Modelによる世代間移動と世代内移動の同時分析を進めたことである。既存研究では、これらはおもに移動表分析によって別々に検討されてきた。上記モデルを採用することで、(1)父親と子供本人の職業間関連(機会格差)の強さは、就労年数が多くなるにつれて、つまり世代内移動の生起が進むにつれて弱まる、(2)本人の初職-現職間関連の強さは、父親-本人間の関連よりもはるかに強いが、これも就労年数とともに弱まるなどの知見がえられた。これらの成果は、the meeting of the Research Committee 28,International Sociological Association, Nijmegen, Netherlands(2006年5月)およびthe International Conference on Comparative Social Sciences,上智大学,東京(2006年7月)において発表した。
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Research Products
(1 results)