Research Abstract |
本研究は,産婦人科の医療現場における医療専門家と妊婦・患者の相互行為をビデオに収め,それを書き起こし,詳細に分析しようとするものである。本年度は,前年度までに収集したデータの分析作業に集中し,知見を取りまとめることに専念した。それでも,たまたま,健診を継続的に取材してよいという妊婦の協力があり,1名の妊婦について,11月末から3月初めの出産ぎりぎりまで,1つの病院における6回の健診(協力いただいた医師は4名)をビデオに収録することができた。分析作業は,前年度までに収集したデータを中心に行なったが,新たに今年度得たデータも,成果の取りまとめにおいて,非常に重要な補助的な素材となった。また,本年度も,2004年度までの研究にも参加していたメンバーを中心に,2002年度以降に収集したデータの分析も続けた。この分析の成果は,『女性医療の会話分析』(西阪・高木・川島著,文化書房博文社)として,2008年5月に刊行予定である。 3月は,ボストン大学のJeff Coulter教授の連続講演会を持ち,相互行為を分析することの意味・意義・目的について,考える機会を得た。7月には,ヨーテボリで開催された国際語用論学会において,西阪と川島の2名が,本研究課題に関わる研究発表を行なった。西阪は,超音波検査における指示表現の使用について,川島は,助産院での妊婦健診における助言の組織について,分析結果を報告した。11月の日本社会学会では,西阪と,白井,小村,川島の4名が,本研究課題に関わる研究発表を行なった。西阪は,助産院での触診の組織について,川島は婦人科外来における治療方針をめぐるやりとりについて,それぞれ分析結果を報告した。 なお,本年度の研究には,研究代表者の西阪と研究分担者の高木のほか,昨年度に引き続き,白井千晶(東洋大学等非常勤講師),小村由香(早稲田大学大学院生),川島理恵(学術振興会特別研究員)が研究協力者として参加した。
|