2006 Fiscal Year Annual Research Report
量的社会調査において測定行為が後の測定結果に及ぼす影響とその含意の研究
Project/Area Number |
17530397
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Research Institution | BUKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山口 洋 佛教大学, 社会学部, 助教授 (00262543)
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Keywords | 社会調査法 / 社会学 / 認知科学 |
Research Abstract |
ある測定行為が後の関連する測定結果を変化させる現象は測定の信頼性・妥当性評価の伝統的枠組みと矛盾する。本研究の目的は、この種の現象の結果、測定の「信頼性」「妥当性」が何らかの意味で自己発生することを、過去の研究の再解釈と独自の実験により明らかにすることである。研究の焦点は次の2つの現象の例示に絞られた。(1)内的一貫性の自己発生:一つの尺度を構城する質問項目群の内的一貫性が、項目群それ自体のキャリーオーバー効果によって高まる、(2)予測妥当性の自己発生:行動の直接的観察の代替手段として近未来・仮想状況での行動意志が測定される場合、そのことによって、外的基準となる行動そのものが促される。 Knowles(1988)らの知見を(1)を間接的に示す過去の研究として再解釈し、独自に次のような追試を行った。特性不安尺度を構成する20項目の順序をローテーションして作成した20種類の質問紙を、180人の学生に配布したところ、質問紙の後方の項目ほど項目一合計相関(項目信頼性)が高くなった。内的外的統制尺度に関する平成17年度の実験でも同様の結果が出たことから、項目数の多い尺度ほど項目間相関の上昇により内的一貫性が高まること、また内的一貫性を基準に項目をふるい分ければ、後方の項目ほど選ばれやすくなることが示唆された。 またSherman(1980)らの知見を再解釈し(2)の現象を数量的に指摘した。また、独自に次のような実験を行った。平成17年度に引き続き、講義の受講生に対し、次回講義の出席意思の測定と実際の出席とを対照する実験を行った。意思の測定は無記名式集合調査(平成17年度)、記名式集合調査、面接調査の3種類で行われたが、いずれの場合も予測妥当性の自己発生は観察されなかった。これらの結果を参考にしつつ、この種の現象の発生条件が考察された。
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Research Products
(1 results)