2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方小都市・農漁村の震災時における生徒・学生たちの救援奉仕活動の実証的研究
Project/Area Number |
17530399
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深井 純一 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 名誉教授 (40066692)
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Keywords | 北但馬震災 / 山陰本線の不通 / 旧制豊岡中学校の生徒たち / 鳥取高等農業学校の学生たち / 天理外国語学校の学生たち / 朝鮮人労働者たち / 生徒・学生たちによる第一線の救援活動 |
Research Abstract |
「研究の目的」 1925年に北但馬まで発生した大地震の際に、山陰本線が不通になり、地元消防団が非力だったために、被災地の中心にあった旧制豊岡中学校の生徒たち200名弱が倒壊建物の下敷き人の救出、火災の消火、家財の搬出など、救援活動の第一線で活躍することになった。 幸い中学校のほぼ全生徒604名が活動の経過と観察の結果を各自2篇の作文に残し、それらを私が1995年末に発掘することが出来た。さらにこれまで作文の整理と平行して進めてきた作文発掘当時の存命者たちの自己の作文にたいする感想と補足の返信、豊岡・神戸・東京での座談会の記録、但馬・丹後在住者への聞き取り調査の記録などからも作文に補足的に盛り込む作業をすすめてきた。この圧縮版は今日の高校生たちにも読めるものにして、地方小都市、農漁村における大災害時に地元および近傍の中学・高校の生徒・学生たちによる第一線の救援活動の展開を可能にし、その担い手として励ましたいと考えてきた。 「研究実施計画」 合計1,200篇に上る膨大な作文の内容を扱われている項目ごとに整理し、「北但馬震災と旧制豊岡中学校」「建物倒壊と下敷き人の救出活動」「火事と消火活動」「市街地の延焼と家財の搬出」「鳥取高等農林学校生の思わぬ城崎外湯回復の出動」「天理外国語学校生の被災地後片付け」「朝鮮人労働者の無償の支援活動」その他合計44項目に整理した。そして重要な事実認識と印象的な表現を含む作文を抜粋して、読者に読みやすい内容に圧縮する作業を進めてきた。その他思わぬ救援者として駆けつけた鳥取高等農林学校や単利外国語学校の学生たちの活動の記録も紙数の赦す限り収録してある。今後これら僻地における大災害の発生に際し、地元の中学・高校の生徒たち、近傍の高等教育機関の学生たちの救援活動の展開を可能にする教訓を引き出したいと考えている。
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Research Products
(2 results)