2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域メディアとしての有線放送史研究〜日本放送史における有線メディアの実態〜
Project/Area Number |
17530400
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂田 謙司 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (70388081)
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Keywords | 有線放送 / ラジオ / 放送史 / 地域メディア / 社会学 / 共同聴取 |
Research Abstract |
平成17年度は、夏と冬の2回にわたる北海道現地調査を行った。夏の調査では、帯広市と豊頃町を調査地として選定した。その理由として、自身の先行研究において敗戦後早い段階からラジオ共同聴取(有線放送)に積極的に取り組んだことがわかっていたが、より直接的な資料の有無を確認することが必要だったためである。豊頃町役場に対して事前に調査の趣旨を説明し、協力をお願いしてあったが、古い話であるために直接関わった人物を見つけるには至らなかった。ただ、ラジオ共同聴取(有線放送)に関して資料、記憶を持つ可能性があるお寺の存在がわかった。夏の段階では日程の都合上調査に行くことができなかったが、次年度では聞き取り調査を行う予定である。また、豊頃町図書館と帯広市図書館では、市町村史及び農協記念誌の調査を行い、貴重な記述を複数発見した。そのほか、十勝毎日新聞社の取材を受け、ラジオ共同聴取(有線放送)の調査を実施していることと、協力を求める記事が掲載された。 冬の調査では、北見市、網走市、函館市、音更町、札幌市の各公共図書館の調査を行った。各図書館では、郷土資料として市町村史及びラジオ共同聴取(有線放送)の事業主体としての農協記念誌を網羅的に調査した。北海道の場合、支庁という行政区分があり、市町村史や農協記念誌はその支庁を基本的な単位として支庁内の中心都市の図書館に収蔵されている。そのために、各地の図書館を調査する必要があった。この調査においてもさまざまな貴重な記述がみつかり、これまでの研究調査では判明しなかった戦後のラジオ共同聴取(有線放送)伝播の一端を明らかにする兆しが見えた。 調査において発見した新しい知見としては、日本初の民間放送誕生とほぼ同時期に自主的な放送が各地で行われていた事実と、それに伴う放送規定の存在である。これらの自主放送の内容と放送規定作成の経緯を今後の調査で明らかにしていきたい。それに伴って、次年度においては図書館での資料発見を継続し、北海道新聞などのメディアを通じて広く資料の提供を呼びかける予定である。また、可能であれば沖縄への調査を実施したい。
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