2007 Fiscal Year Annual Research Report
貧困・低所得者層に対する就労支援と社会的自立に関する実証的研究
Project/Area Number |
17530414
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
丹波 史紀 Fukushima University, 行政政策学類, 准教授 (70353068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 壮志郎 岐阜経済大学, 経済学部, 専任講師 (90387449)
下村 幸仁 会津大学, 短期大学部, 教授 (20412942)
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Keywords | ワークフェア / 自立支援プログラム / 生活保護 / ホームレス / 母子家庭 / 貧困 / 就労支援 / 社会的自立 |
Research Abstract |
本研究では、生活保護・ホームレス・母子世帯などを対象にし、貧困・低所得者層への自立支援策に関する実証的研究を行ってきた。3年間の研究期間の最終年度として、本年度はとりわけ、昨年度の調査研究をふまえ、研究の総括と成果発表に心がけた。 丹波は、福島県における母子家庭等就業・自立支援センターの利用者に関する追跡調査を行い、就労支援を受けた後の母子家庭の労働と生活の実態について調査を行い、その調査結果を公表した。山田は、名古屋市におけるホームレス自立支援センターの退所者に関する調査ないしはセンター利用中の支援記録の分析を通じて、自立に向けた阻害要因の分析等を行い、その成果を公表した。 その結果、母子家庭あるいはホームレスに関する就労支援を中心とした「自立支援策」では、対象者の自立阻害要因を取り除くことはできず、就労に偏らない生活・健康・住居・社会参加等を含む総合的・包括的な支援内容の充実が必要であることが確認された。 たとえば母子家庭の揚合、就労支援を受けた後の追跡調査の結果を見ると、求職活動中であった多くの利用者が就労につくことができ、就労支援策の一定の効果を確認することができた。しかし、その内容を具体的に見ると、6割の者が派遣や契約・パートなどの非正規雇用で働き、その月収は15万円未満を下回り「低所得構造」から抜け出せていないことがわかった。さらに約4割の者が就労支援後に転職を経験しており、不安定な労働生活にあった。また、本人が病気であったり、子どもが幼少であったり障がいがあるなどして、無理をしながら働いている実態が確認された。 就労支援中心の自立支援策は、その効果が限定的であり、貧困・低所得からの脱却という点においては目的を果たし得ていない。その点で、今後包括的・総合的な自立支援策の開発が求められている。
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Research Products
(5 results)