2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーク実践事例の多角的分析による固有性の可視化と存在価値の実証研究
Project/Area Number |
17530420
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平塚 良子 大分大学, 福祉社会科学研究科, 教授 (40257556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 寿之 梅花女子大学, 現代人間学部, 講師 (00319394)
滝口 真 西九州大学, 健康福祉科学部, 助教授 (20258635)
黒木 邦弘 西日本短期大学, 社会福祉学科, 助教授 (60369832)
端田 篤人 長野大学, 社会福祉学部, 講師 (80387422)
橋本 美枝子 大分大学, 教育福祉科学部, 助教授 (90315309)
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Keywords | ソーシャルワーク / 実践事例 / インタビュー(語り) / 7次元統合モデル / 仮説生成 / 固有性の可視化 / 存在価値の立証 / 実証研究 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の15名に加えて35名のソーシャルワーカーによる事例提供(70事例集積)を受けると共にインタビューを実施した。これにより計50名のソーシャルワーカーによる提供事例数は100事例となった。50名のソーシャルワーカーは、福祉施設所属15名、福祉機関6名、福祉団体11名、医療機関11名、独立開業5名、企業2名であった。ソーシャルワーカーの職位も多様である。最前線の立場にある者、中間管理職、管理職などに分かれる。提供事例も分類すると個別の援助事例及び非個別援助事例(スーバービジョン事例、アドミニストレーション事例、地域組織化・福祉組織化事例、その他)多様である。またソーシャルワーカーの実践対象も多様である。 本年度はこの事例集積とインタビュー調査の実施が主要な研究活動となったが事例と語りのデータ化に着手した。データ化のための作業では、"昨年度の試みをフオーマット化し、安定した分析がはかれるように工夫した。特に仮説的な7次元統合モデルによるソーシャルワーカーの事例についての語りの分析のためのシート作成(事例分析シート)を行った。同シートは演嘩的に導き出した7次元モデルとソーシャルワーカーの語りを関係づけるべく組み合わせをはかったものである。すなわち語りを活かすために「語り」から重要なアイテムを抽出し、そこから重要な意味づけ、言い換えれば、ソーシャルワーカーの語りの論理化ができるように設計した。同分析シートは事例分析手法のーつの定型を示して手法の開発につながった。同時に事例研究に寄与する可能性を拓くものとなった。加えて本年度はこれらの成果の-一部を平成18年10月7日1日本社会福祉学会第54回大会で2報告行った。 ところで集積した事例のシート作成は現在途上にあり、全体的な結論は得ていない。しかしながら、ソーシャルワーカーが実践における価値の明確化・価値の意識的適用をはかることは、視点・対象認識を広く、かつ深くし、実践行為に合理性をもたらすことが確認できた。それは多次元的な方法の実施につながり7次元モデルの有用性を確認することができ、成只は大きい。この点はソーシャルワークの存在価値の立証を可能にする。 なお、事例数は多くはないが分析作業を通してソーシャルワークの固有性の可視化として独自固有な論理(=福祉の論理)の特徴が見えつつあり、昨年度の固有性の可視化がより確認されつつある。今後は引き続き分析をはかりソーシャルワーカーによる語りから概念生成しソーシャルワークに固有な論理化をはかりたい。また、100事例のデータから量的分析の方向性を提示したいと考えている。
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