2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーク実践事例の多角的分析による固有性の可視化と存在価値の実証研究
Project/Area Number |
17530420
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平塚 良子 Oita University, 福祉社会科学研究科, 教授 (40257556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 美枝子 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (90315309)
滝口 真 西九州大学, 健康福祉学部, 教授 (20258635)
黒木 邦弘 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (60369832)
端田 篤人 長野大学, 社会福祉学部, 講師 (80387422)
植田 寿之 梅花女子大学, 現代人間学部, 准教授 (00319394)
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Keywords | ソーシャルワーク / 実践事例と語り / Multiple Way Combination Method(MWC研究法) / 7次元統合体モデル / 固有性の可視化と存在価値の実証 / 多角的分析 / 仮説生成型実践 / 事例分析手法の開発 |
Research Abstract |
本研究は、ソーシャルワークのわかりにくさの克服=ソーシャルワーク(以下、SWとする。)の証明という挑戦である。それゆえ、多様な実践領域の50名のソーシャルワーカー(以下、SWerとする。)による事例提供(100事例:個別事例と非個別事例)とその語りから、SWの固有性を可視化し、SWの存在価値を実証することを目的とした。 そのために、本研究では、規範科学的接近法、了解科学的接近法、経験科学的接近法三者を交差させることを志向し、これに事例の多角的分析手法を組み入れた独自な研究法を試みた。3年間の計画で進めたが、質的研究を進めるなかで不可欠な妥当性や信頼性を高めるために分析のための時間が計画以上に要し、全事例の分析を終えることができず、そのため量的分析を含む三者交差型の結論を導き出すまでには至らなかった。量的分析の可能性を一部提示するに止まり結果としては二者交差型の途上となった。 しかしながら、7次元統合体モデルの観点とSWerの実践事例に関する語りとの連結分析から、SWの成立像を確定することができ、その存在価値、固有性としての論理化を見出した点は目的に適うものである。特にSWの存在様式の可視化を可能ならしめ、存在自体を規定することができた。かつ、この存在様式には、SWらしさである固有性としての論理が確認できた。それは、クライエントシステムの援護性が高いだけに、「人間存在への畏敬」、life protectionという「人間存在の守り」、「代弁的調整」が固有性を表す大分類論理例として集束する。この論理は、ミクロ、メゾやマクロレベルの実践であろうと共通する。 本研究では、ソーシャルワークの証明に関しては、量的な分析の面からは検証課題を今後に残すが質的な分析からは一定の成果を得ることができた。また、本研究で採った事例の多角的分析の手法はきわめて斬新な手法の開発であることがわかり、今後の活用が十分に期待できる。
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Research Products
(3 results)