2005 Fiscal Year Annual Research Report
新・旧優生学とナチ断種法批判に関する日独比較史-平塚らいてうの優生思想の再考から
Project/Area Number |
17530422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡田 英己子 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 教授 (10233321)
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Keywords | 社会福祉関係 / 優生思想 / 優生学 / ナチ断種法 / 平塚らいてう / フェミニズム |
Research Abstract |
1.成果 本研究の起点になるのは、岡田英己子(2005.3.)「平塚らいてうの母性主義フェミニズムと優生思想--『性と生殖の国家管理』断種法要求はいつ加筆されたのか」『人文学報』東京都立大学人文学部,No.361(社会福祉学21),23-97、である。 この続編が平成17年度に行った学会報告である。岡田英己子(2005.05)「平塚らいてうの優生思想を考える--『社会的なるもの』の制度化を求めた第一波フェミニズム運動の挫折?」『社会事業史学会第7回大会報告要旨集』(於:長野大学,2005.05.14,土曜16:15〜16:55,30分報告)pp.44-45、になる。ここでは平塚らいてうの語る「社会的なるもの」の内実と、彼女の優生思想のギャップを比較し、次いで「社会」に関心のなかった平塚が優生思想を媒介にして母性保護・乳幼児保護政策に関心を持つ経緯を明らかにした なお「社会」は、優生学的言説が制度・政策化されていく際の史資料分析では重要な言葉である。これに関しては、岡田英己子(20005.5)「コラムX;ドイツの福祉に社会(sozial)の冠が付く時--社会事業の登場」(若尾裕司・井上茂子編著『近代ドイツの歴史--18世紀から現代まで』ミネルヴァ書房2005年5月)で、若干言及している。 2.作業経緯 平塚らいてうの優生思想研究では、現在も史資料分析と年表作成を継続中である。平成17年度は日本における断種法制定で主導権を握る永井潜の年表作成が主たる作業であった。東大医学部卒の優生学関係研究者の人脈を辿りながら、彼らの交流・関係をマップで図式化した。医学界エリートと政治の中枢の人脈との結び付きが見える。 3月のドイツ予備調査では、永井のドイツ留学時代の優生学運動・優生学研究の状況を概観できる文献収集が課題。
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Research Products
(1 results)