2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族の多様化に対応した所得保障制度構築のための基盤研究
Project/Area Number |
17530424
|
Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂口 正之 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (70111010)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所 道彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 講師 (80326272)
|
Keywords | 社会保障 / 家族政策 / 所得保障 / 年金 |
Research Abstract |
(1)平成18年度は文献研究を通じて、もう一度日本の現制度の問題点の原因や背景について検討を行った。制度ごとに、抜本的な改革が必要なのか、あるいは部分的な修正が必要なのか等を検討し、整理した。 (2)社会保障制度改革が先行しているイギリスとの比較検証を通じて日本型システムの特徴と課題を再確認した。現地調査を行い、現地の社会保障研究者と意見交換を行った。現在、イギリスでは、2006年5月に発表された年金改革のホワイトペーパー(政府による政策提言書)が議論されている。その狙いは、1.個人責任の奨励、2.社会的公正、3.制度の簡略化、4.負担可能性の実現、5.長期的な持続可能性の実現であり、これらを達成するために様々な改革が提言されている。家族の多様化への対応は、介護者へのクレジットの導入など介護の担い手(その多くが女性)に対する社会的公正が意識された内容となっている。その一方で、自助努力を強調する要素も含まれており、年金の支給開始年齢の段階的引き上げによる就労期間の延長への誘導や、私的年金や個人の貯蓄への誘導などが盛り込まれている点にも注意しなければならない。わが国でも、家族多様化への対応が、最終的には、個別化にとどまらず、自助強調型のシステムへの転換につながるのかどうかを見極める必要があろう。 (3)これらの研究成果については、日本の現状分析とあわせて整理し、「家族多様化時代の所得保障制度」のあり方について提言をまとめた報告書を作成するとともに、論文・学会報告等を通じて内外に発表する予定である。
|
Research Products
(1 results)