2005 Fiscal Year Annual Research Report
退院促進事業による精神障害者の地域社会への参加可能性に関する行動計量学的研究
Project/Area Number |
17530426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (70316131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 陽 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30099676)
中谷 隆 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (40155875)
大下 由美 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (00382367)
細羽 竜也 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (40336912)
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Keywords | 退院促進支援事業 / 精神障害者 / 社会的入院患者 / 自立支援員 / 退院阻害要因 / 退院に対する不安 / 情報の共有 / リスクマネジメント |
Research Abstract |
平成17年度の研究事業では、大きく2つのことに取り組んだ。まず第1に、退院促進支援事業を実施している都道府県等を対象に、事業の実施状況について予備調査を行った。22都道府県から回答が得られ、その検討結果を次の学会等で口頭発表した。第64回日本公衆衛生学会(平成17年9月14日〜9月16日)にて、研究代表者(金子努)が「精神障害者の退院促進支援事業の現状と課題」と題して発表した。続いて、日本社会福祉学会第53回全国大会(平成17年10月8日〜9日)にて、研究代表者(金子努)が「精神障害者の退院支援との現状と課題〜退院促進支援事業の調査分析を通して〜」と題して発表した。さらに、目本精神障害者リハビリテーション学会第13回大阪大会(平成17年12月3日〜4日)におけるシンポジウム「退院の可能性は誰にでもある〜退院促進支援事業の実践から見えてきたもの」の中で、研究代表者(金子努)が「退院促進支援事業全国調査結果から」と題して発表した。 第2に、社会的入院患者(もしくはその恐れのある入院患者)を対象に、退院の阻害要因について検討し、退院促進と退院後の地域生活支援の方策について検討した。具体的には、広島県備三地域保健所が中心に実施している退院促進支援事業に参画し、退院阻害要因について事例分析した。その結果、主な退院阻害要因として、(1)退院に対する不安、(2)家族等の退院に対する反対、が挙げられることがわかった。さらに、(1)の退院に対する不安の内容とその不安に対する自立支援員の働きかけ、そしてその働きかけの結果について事例をもとに分析を行った。その結果、退院を促進するには、社会的入院患者の退院後の生活を見通したリスクマネジメントを行うことが重要であることがわかった。そして、円滑な地域生活への移行を可能とするためには、入院中から入院医療機関と地域の支援機関、支援者とが連携を図り、リスクマネジメントも含めた情報の共有と共通認識にもとづく支援を展開することが効果的であること、そして、そのコーディネート機能を担う機関や人の存在が重要であることも明らかになってきた。 以上のことを踏まえ平成18年度は、全国の退院促進支援事業の実施状況の細部にわたる調査を実施し、その把握と検討を行う。
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Research Products
(1 results)