2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の子を養育するフィリピン人母子世帯に対する社会福祉支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
17530435
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Research Institution | Japan Lutheran College |
Principal Investigator |
原島 博 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 助教授 (10287823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 リツ子 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (70247104)
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Keywords | 国際結婚 / フィリピン人母子家庭 / ダブルの子ども / 異文化間ソーシャルワーク / 多文化共生社会 / 国際協力 / 異文化適応 |
Research Abstract |
研究目的: 日本人と結婚したフィリピン人女性の認識から生活実態を分析し、日本社会で子育てを行いながら、自立した生活課題を明らかにし、必要な社会的支援のあり方にっいて検討することを目的とした。 研究方法: 平成17年度に実施した生活実態調査の結果を婚姻関係にある場合と離婚経験をして母子で生活している場合とを比較した。また、比較分析に基づいて、母子世帯のフィリピン人母親30人にインタビュー調査を実施し、日本人配偶者との出会いから結婚、そして離婚に至る経験の語りから異文化社会の日本で暮らす母子家庭の課題を分析した。 研究成果: 異文化社会で生活する上で日本人配偶者の有無にかかわらず、言葉、子育てや教育については共通の課題もあるが、離婚をして母子世帯となったフィリピン人女性の生活課題は深刻であることが分かった。離婚後女性は日本で生活することを選択している背景には、母国の貧困により帰国しても生活の手段がないことと子どもの将来を考えての選択をしている。しかしながら、母子世帯の場合、日本で正規の仕事につけていない場合が多く、低所得の問題がある。生活保護を受けながら子育てをしているケースも比較的多い。日本人の父親がいないことから言葉や価値観の違いからくる思春期の親子関係について心配をしている。また、信頼して生活相談できる友人も少ないため、母親が社会的に孤立をする可能性も推測できる。ほとんどの母親は、子どもが自立するか、本人が高齢化したらフィリピンの故郷へ戻りたいという意見が大勢をしめた。しかし、生活の基盤がフィリピンにないフィリピン人女性が高齢になって帰国することは簡単ではないであろう。本調査をとおして、結婚、出産、子育て、教育、仕事、高齢期の生活課題に対して、フィリピン人のニーズに応えていける行政、民間、地域レベルでの社会的支援のあり方を開発する必要性が明らかになった。
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