2005 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・インクルージョンと社会福祉:日英の概念的、方法論的、政策論的研究
Project/Area Number |
17530440
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
木戸 利秋 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30224992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
|
Keywords | 社会的排除 / インクルージョン / 貧困 / イギリス / 社会福祉 / 地域福祉 |
Research Abstract |
今年度の研究は、イギリスのソーシャルインクルージョンに関する3年間の研究における第1年目にあたる。2回にわたるイギリスでの現地調査にもとづきながら、社会的排除に取り組んでいる公的機関および民間団体への視察とヒアリングを通して、イギリスのインクルージョンの課題を考察した。まず副首相担当庁(Office of Deputy Prime Minister)に設置されている社会的排除ユニット(Social Exclusion Unit)に訪問し、シンクタンクとしての性格や社会的排除への課題の優先順位を省庁の行政課題に高く位置づけていること、そのためのSEUと他省庁の連携の重要性が明らかとなった。またロンドンのイーストエンドの貧困地域のおけるトインビーホール(Toynbee Hall)の実践を児童、高齢者分野で視察した。バングラディシュ系の移民の多い地域にあって、民族性に着目したデイサービスや昼食会による仲間づくり、また貧困児童を対象とした補習授業やサマースクールの試みが特徴的であった。イギリスの社会的排除の取り組みの組織的形態として、地域福祉を活用してところが多く見られている。そのひとつ高齢者分野でイギリスで注目されているLeeds Neighbourhood Network Schemesという民間団体の視察を行った。リーズの地域全体で40の地域組織がネットワークを図りつつ、地域ニーズに即した開発的な実践を展開している。最後に、雇用と福祉の有機的な関係構築をめざしているJobcentre PlusおよびNew Deal programを実施している民間団体を視察した。その他、London School of Economics and Political ScienceのDavid Piachaud教授との懇談を行った。これらの予備調査をふまえて、次年度はイングランドの地方自治体における社会的排除への取り組みを調査する予定である。なお平成17年10月に行われた日本社会福祉学会自由研究発表において、研究代表者の木戸が「『社会的排除』の研究動向と意義-その1イギリスのSEUを中心に」と題して、研究の中間報告を行った。
|
Research Products
(2 results)