2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・インクルージョンと社会福祉:日英の概念的、方法論的、政策論的研究
Project/Area Number |
17530440
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
木戸 利秋 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30224992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
伊藤 文人 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (40367727)
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Keywords | 社会的排除 / インクルージョン / 貧困 / イギリス / 社会福祉 / 地域福祉 |
Research Abstract |
今年度の研究は、イギリスのソーシャルインクルージョンに関する3年間の研究における第2年目にあたる。前年度と同じく2回にわたるイギリスのリーズ市での現地調査にもとづきながら、イギリスのインクルージョンの課題を考察した。 ○高齢者福祉分野とインクルージョン イギリスでは、ホームヘルプの派遣基準の変更により、家事支援が介護サービスとして提供されなくなっているという現状がある。そのことを背景に、民間福祉や社会的企業の役割が高まっていることを調査した。民間福祉のうち、近隣ネットワークシステムは、40をこえる組織が参加し、市の全域をカバーしている。そのシステム立ち上げには財政的な側面とともに、行政のソーシャルワークの専門的支援が大きな役割を果たしたことが明らかとなった。 ○障害者雇用とインクルージョン イギリスの福祉関連の就労支援ではニューディールとともに障害者雇用のプログラムとしてWORKSTEPがある。ニューディールの対象者にも障害者は含まれているが、障害の程度は軽度であるに対して、WORKSTEPの対象者は比較的重度であるという特徴をもっている。WORKSTEPは民間事業者や地方自治体に実施が国から委託され、利用者の障害状況に応じた個別的な雇用プログラムが立てられるところが注目される。 ○児童とインクルージョン イギリスでは児童福祉と教育との統合が進んでいるが、その背景には児童虐待への対応とならんで、児童の貧困や貧困の世代的連鎖をどう断ち切るのかという問題関心があることが明らかとなった。中央省庁レベルの統合だけでなく、自治体の現場レベルでも福祉、教育だけでなく、保健、司法も巻きこみながら、地域に根ざした分権型、横断型の児童支援の枠組みづくりが進展している。 ○なお平成18年10月に行われた日本社会福祉学会自由研究発表において、研究代表者の木戸が「イギリス公的扶助とインクルージョン-New Deal Personal Advisorをめぐって-」と題して、研究の中間報告を行った。最終年度は出版化にむけた準備を行う。
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Research Products
(4 results)