2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・インクルージョンと社会福祉:日英の概念的、方法論的、政策論的研究
Project/Area Number |
17530440
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
木戸 利秋 Nihon Fukushi University, 社会福祉学部, 教授 (30224992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
伊藤 文人 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (40367727)
谷口 由希子 日本福祉大学, COE推進室, COE研究員 (80449470)
|
Keywords | イギリス / 貧困 / 社会的排除 / リービングケア |
Research Abstract |
本研究では社会的排除に対応する具体的な政策を検討するためにこれまで概念、方法論、政策論研究を実施してきた。その中で本年度は2007年8月31日から9月9日にかけて5回目となるイギリス調査を実施した。イギリスでは1997年に発足したブレア政権以後、社会的排除への対応が政治的・実践的課題となっている。今回調査では地方自治体レベルの政策策定のプロセス、社会的排除のリスク予防の観点から注目されている子どもの社会的排除問題への取組み、それらの政策評価について福祉事務所や地区事務所などを訪問し、聞き取り調査と資料収集を実施した。また、これまでの調査でも連携してきたリーズ市社会福祉事務所を中心とした今後の共同研究について意見交換を交わした。 リーズ市では現在20%いる貧困層を10%に削減することを目的としている。目的達成のために健康問題の改善を中心として地域開発アプローチを取り入れている。ワーカーが地域に出向き移民や若年層などのマイノリティと共に生活するなかで就業ケアを行っているが、とりわけ若年層では就業および就業の継続は困難であるという。 子どもへの支援では、「確かなはじまり計画」以降、地方自治体の役割と家族への支援が明確化された。一般に家族への支援は困難を伴う場合が多いが、子どもを里親に預けるのではなくワーカーと親子が一時的に同居するという形で教育的支援を行っている。ケアを離れる前後のリービングケアでは、24時間体制のグループサポートと個別の自立計画がワーカーと子どもによって立てられるという。ブレア政権以降の10年での変化として自治体の責任により家族への支援が行われるようになった反面、子どもが犯罪を犯したり虐待死事件が発生した場合には地方自治体に非難の矛先が向くようになったという。
|
Research Products
(13 results)