2005 Fiscal Year Annual Research Report
多メディア社会における情報チャネル選好と社会的現実の形成との関連
Project/Area Number |
17530453
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
川浦 康至 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (10214595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 善郎 成城大学, 文芸学部, 教授 (00146268)
柴内 康文 同志社大学, 社会学部, 助教授 (60319457)
北山 聡 東京経済大学, コミュニケーション学部, 助教授 (30327176)
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Keywords | インターネット / 情報行動 / コミュニケーション行動 / メディア依存 / インタビュー / ニュース / 乳がん / 就職活動 |
Research Abstract |
今年度は文献研究と予備調査を行った。 文献研究から、つぎのようなことが明らかになった。 (1)受け手の関心によってオンラインニュースの接触パターンが異なる(選択的接触と受け手の分断化)、(2)議題設定効果がオンラインメディアとプリントメディアで異なる、(3)異質な情報に接することが社会的認識にとって重要な役割をはたしている、(4)ニュースや社会的問題に対する関心の低さが、X世代を中心に米国でも問題になっている。(5)社会的争点に関する関心度と関連のある個人要因として共感能力があげられる。 これらの知見からは、研究対象である社会的現実を限定する必要性も浮き彫りになり、今年度の予備調査では、クリティカルでかつ現実認識に個人差が大きく、しかも、それによって実際の行動も影響を受ける(免疫力をも左右する)「がん」を取り上げることとした。実際には、乳がん経験者数名を対象に、社会的現実としての乳がんに関する問いをはじめ、関連する情報コミュニケーション行動、インターネットの利用状況などを中心に個別インタビューを行っている。インタビューはいま進行中であるが、これまでの結果から、インターネット上の情報が重要な役割を果たしていること、なかでも現状では、同じ境遇にある人による発信情報の意義の重要性が浮き彫りになってきている。 また来年度予定している本調査は、就職活動を題材に大勢の学生にたずねることに決まり、その準備の一環として、大学・3、4年生たちにグループインタビューを行った。その結果、インターネット依存度の(予想を上回る)高さ、情報コミュニケーション行動の多様性(個人差)が明らかになった。同時に、継時分析の重要性も確認されたため、本調査では複数時点での(パネル)調査を計画中である。これらの作業と関連して、就職活動を始めたばかりの学生たち数名に就職活動日記をつけてくれるよう依頼した。
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