Research Abstract |
本研究を構成する3課題の,本年度の研究実績は以下の通りである。 課題A(教育活動の一環としての精神的不適応予防プログラムの実施,効果の検証)については,前年度に引き続き,2大学(大妻女子大学,兵庫大学)において,作成した予防プログラムにそって授業内で実践研究を行った(前期)。その結果,受講者の満足度は高く,授業内容も良く理解されていた。予防の効果についても,前年度同様,良好な結果を得た。すなわち,落ち込んだとき適切な対処行動をとることについての自己効力感が,予防プログラムを受講した学生において,受講しない統制群と比べて有意に改善していた。しかし,講義内容やホームワークにやや難しい内容があったことも報告されたことから,年度後半には複数の学生に面接したり,授業の感想を検討したりして,内容を見直す作業を行った。一連の結果については,来年度中に学会および論文にて発表する予定である。 課題B(学生相談室を中心とした予防プログラムの検討と提唱)については,我が国において独創的な学生相談活動を行っている大学を選び出し,その大学を訪問し,学生相談担当者に面接調査を行い,学生相談活動の詳細や論文・報告書に載らない現場での事情などについて聞き取りを行った。調査を行った大学は名古屋大学,九州大学,金沢工大,神戸女学院大学であった。独創的なとり組みとしてリストアップされたものの,まだ調査を行っていない大学については来年度訪問する予定である。 課題C(学生の援助希求行動の調査)については,前年度に引き続き,うつ病発症時の学生の援助希求行動について調べた。今年度は,うつ病発症時に診療所への援助希求に関連すると思われる要因をいくつかに絞り,そのうちどれがより強く援助希求行動に関連するかを,コンジョイント分析という分析手法を用いて調べた。現在,データを分析中である。
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