2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530488
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
椎名 乾平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60187317)
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Keywords | 心理学 / 反応時間 |
Research Abstract |
データとして得られる評定尺度値は,様々な心理学的尺度化法で暗黙の内に仮定されているように,単純に心理学的連続体上の心理値をピックアップするというものではなく,むしろ時間変動を伴った構成的な意思決定プロセスの結果と考えるべきである.認知心理学において「プロセスモデル」を構築する際に最も重要視されてきたのが反応時間である.ところが評定・選択判断生成プロセスについての直接的な研究や,どのような心理プロセスによって反応時間が変化するのかについて,あるいは反応時間分布の統計的性質の詳細な検討を含む統一的なモデル化ははなはだ不十分であった.ところが最近10年間に,特に数理心理学系の研究者のあいだで,反応時間の生起プロセスを巧妙にモデル化した研究が多数発表されてきている.これらのモデルに共通するのはA)心内にある種の確率過程が存在すると仮定し,B)その確率過程の振る舞いの違い(数学的に言えば確率過程に与える拘束条件)によって様々な反応時間を統一的に説明しようと試みる点である. ●確率分布パラメーター推定問題 従来提案されてきた様々なモデルは,最終的にそれぞれ異なる反応時間の確率分布を予想する.そこでこれらの分布を最尤法を用いて実データに当てはめて,情報量基準等を用いてその優劣を決定する計算機プログラムのプロトタイプを開発中である. ●動的評定尺度 椎名(2004)で提案された「動的評定尺度」は最終的な評定値・評定時間のみならず,評定中の判断の変動過程を可視化しようとするものである.「動的評定尺度」のデータを蓄積し評定尺度・評定行動の性質について検討中である.
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