2006 Fiscal Year Annual Research Report
「文字ストローク」の「動きイメージ」が単語認知に及ぼす影響-基礎的実験研究
Project/Area Number |
17530491
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
梶田 正己 中部大学, 人文学部, 教授 (70047231)
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Keywords | 認知 / 単語認知 / イメージ / 記憶 |
Research Abstract |
3年計画の二年次であり、昨年の実験の反省に基づいて、「文字ストローク」を表示する実験材料として、昨年同様に、カタカナ語を使い、「筆順イメージ」を再現できる刺激を作成した。 50音のカタカナ語の筆順を示す「動きイメージ」をコントロールするために、ソフトウエアを利用して、パソコン・デスプレイ上に、カタカナ語の筆順の「動きイメージ」を生成することが基本になる。筆順を表示する過程は、本実験をする一番肝心の準備段階であるが、本邦には筆順をコントロールする参照モデルが無いために、初年度から創作することとなった。この準備過程の間に、当初は予想もしなかった、いろいろ新しい問題、テーマに遭遇することとなった。当初の本研究の仮説に加えて、新しいいくつもの仮説が誕生し、一筋縄ではいかない複雑な研究活動を推進しなければならないこととなった。 第一は、カタカナ語の筆順、すなわち、「動きイメージ」が、日常にカタカナを書いている被験者から見て、「自然なストロークの動き」として受けとめられるか否か、ということがあり、非常に大きな課題として浮き上ってきた、ということである。ゴツゴツしたストローク、筆順の動きでは、それ自体が一つの刺激条件になり、認知に大きな影響を及ぼす、ということになる。したがって、当初、一定のタイム・インタバルで「文字ストローク」のパーツを細分化して、継時的にコントロールすれば、映画フィルムで動きを見せるように筆順をコントロールできる、と考えていたアイディアを根本から修正しなければならなくなった。 すると第二は、「自然な筆順の動きイメージ」を提示することが、文字の生成過程を効果的に活性させる、という仮説が基本となるように考えられる。この問題意識が当初と違って大きく発展した事項である。 第三は、カタカナ語の「文字ストローク」をより自然な動きに見せるために、どうしたらよいか、という次の重大なテーマが浮彫りになってきた。すなわち、カタカナ語のストロークの各パーツごとに、異なったタイム・インタバルでコントロールするために、いくつもの基礎的、基本的な実証的研究を実施することとなった。すなわち、カタカナ語を修得した人に、カタカナ語を書いてもらい、その動き、ストロークを収集し、その結果に基づいて、「動きイメージ」を表示できるように基本的考え方を変えることになった。そのために本研究は半年遅れてスタートすることとなったが、「文字ストローク」の「動きイメージ」を自然に提示するための新しい仮説、考え方が生まれ、今後の発展が期待されると思っている。
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