2005 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の身体図式と自己認知に関する臨床発達心理学的研究
Project/Area Number |
17530495
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萱村 俊哉 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (00233990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白瀧 貞昭 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (90107970)
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Keywords | 軽度発達障害児 / 身体図式 / 協調運動 / 自己認知 / コンピテンス / 人物画 / 身体イメージ / 臨床発達心理学 |
Research Abstract |
平成17年度は、身体図式の概念について暫定的に整理した上で、軽度発達障害児及び健常児に対して身体図式(とくに協調運動)検査やコンピテンスに関する質問紙調査を実施し、以下の成果を得た。 1.身体図式概念の整理:(1)身体図式と身体イメージの関係、(2)軽度発達障害児に特徴的な身体図式、(3)身体図式検査としての協調運動検査の具体的方法と意義についてまとめて報告した。 2.軽度発達障害児の協調運動検査:軽度発達障害を持つ児30名を対象に6種類の協調運動検査を実施した。所定の判定基準に基づいて陽性所見の有無、及び左右差(利き手を勘案)の有無を検討した結果、(1)近位筋(体幹に比較的近い大きな筋肉)を一定のテンポで動かす粗大な協調運動検査において障害の検出力が高いこと、(2)協調運動の左右差と障害の間に明確な関連は見られないことなどが明らかにされた。 3.健常児を対象とした研究:小学校1、2、3年生児童(136名)の視覚運動検査(Reyの図検査)に関するデータをまとめ、模写の正確さは1年から3年にかけて向上することなどの知見を得た。これらの知見については学術雑誌に報告した。また、健常幼児(98名)の協調運動検査のデータを集め、さらに、小学校3、4年生(150名)の人物画とコンピテンスに関する調査も実施した。両データともにまだ分析を継続中であるが、現在までのところ、(1)幼児の協調運動に左右差と性差がみられること、(2)児童期の人物画とコンピテンスの間に関連が見られることなどの知見を得ている。 4.今後の研究の展開:今後は軽度発達障害児と健常児のデータを詳細に比較することにより、研究の冒頭において暫定的に整理した身体図式概念を臨床発達心理学の観点から再度整理し直す。その上で来年度はさらに、青年期や老年期の身体イメージや身体満足度のデータを収集し、これらのデータも併せながら、身体図式の概念的妥当性について検討を加える予定である。
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Research Products
(3 results)