2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害児の身体図式と自己認知に関する臨床発達心理学的研究
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17530495
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萱村 俊哉 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (00233990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白瀧 貞昭 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (90107970)
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Keywords | 軽度発達障害児 / 身体図式 / 身体イメージ / 協調運動 / 身体満足度 / 自己認知 / 人物画 / 臨床発達心理学 |
Research Abstract |
18年度はまず、17年度に実施した研究を整理し、そこから得られた身体図式に関する知見や仮説について、武庫川女子大学紀要や人間学研究誌に発表した。また、軽度発達障害児の協調運動に関する研究結果をはじめ、小学校3、4年生を対象として実施された人物画とコンピテンスに関する結果、小学校1〜3年生を対象としたReyの図検査の結果、さらに健常幼児の協調運動検査の結果に関して、それぞれ学術雑誌に投稿するための原稿をまとめた。加えて、本研究で得られた知見に基づいて「教室における気になる子どもたちの理解と支援のために-特別支援教育における発達神経心理学的アプローチ」と題する著書の執筆を行った。 以上の活動以外に、18年度は、大学生(250名)と高齢者(200名)を対象として、(1)身体満足度質問紙、(2)自己像描画検査(人物画)、(3)自己内部イメージ検査を実施した。(1)は自己身体の部位の形や機能の好感度に関する40(あるいは20)項目を5件法で回答させる検査であった。(2)は「あなた自身の姿を絵に措いてみてください」と教示する検査であった。描かれた自己像の「像の高さ」などの長さ(mm)を評定した。(3)は「あなたのからだの内側の絵を措いてみてください」と教示し、描かれた臓器の数やその描出の特徴などの観点から分析した。以上の検査所見の連関について相関分析や重回帰分析などを用いて検討した結果、(1)の身体満足度質問紙と、(2)(3)の自己身体の描画検査との間には明確なつながりは認められなかった。もっとも、(2)(3)の描画検査に関しては、今回は長さや臓器の数といった定量的側面の分析のみを行ったのであり、SD法などを用いた印象評定(質的分析)はまだ実施していない。描画所見の質的分析結果と身体満足度との連関については今後しなければならず、その意味で、現時点での身体満足度と自己像や自己内部のイメージとの連関についての所見は暫定的なものである。 17、18年度に実施した研究結果を総合して、さらに文献的考察も加えながら、軽度発達障害児の身体図式と自己認知、及び身体図式と身体イメージ、そして自己との連関について臨床発達心理学的に考察し、身体図式の概念的な妥当性に関する暫定的な結論を得た。
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Research Products
(2 results)