2005 Fiscal Year Annual Research Report
非行少年の心理的援助過程における「行動化」の意味理解とその治療的活用に関する研究
Project/Area Number |
17530501
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
羽間 京子 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (60323383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 亨 千葉大学, 教育学部, 教授 (30173579)
|
Keywords | 非行少年 / 心理援助 / 行動化 / 再非行 / 治療的理解 |
Research Abstract |
非行少年の「行動化」、特に心理的援助過程開始後の再非行等の「行動化」の治療的理解のために、以下の研究を行った。 1.Freud、Klein、Winnicottの理論の詳細な検討から、(1)Freudの言う「agieren」(1914)は、治療によって引き起こされたものに限られておらず、面接の外で行われる行為にも限定されていないこと、さらに、治療を妨害するものとしての意味だけでなく、被分析者の内界が表現されるという積極的な意味が含まれていること、(2)Winnicottの言う「反社会的傾向」(1958)は、Freud(1916)の「罪の意識から罪を行なう者」を発想の原点とし、その上で、Winnicottは子どもの反社会的傾向の中に含まれる「希望」(1963)を指摘していること、を整理した。 2.上記1を踏まえ、少年司法領域における自験例の分析を行い、その結果、少年の再非行等の問題行動の中に、「希望」が見出されること、そして、それが援助者に受け止められ、holdingされることを通して、「罪の意識を定着させる」(Freud、1916)動きが促進される現実があることを見出した。なお、このときのholdingは、少年院収容という強力な枠組みで行われる場合もある。 3.上記1〜2の研究をさらに発展させるために、非行少年との心理面接の録音テープ起こしを行い、更に詳細な検討を継続する事例を特定した。 4.上記1〜2を踏まえ、学校教員へのコンサルテーション事例(自験例)を再検討し、児童生徒の非行等の問題行動の治療的理解とコンサルタントの役割について考察を加えた。 5.非行と関連の深い児童虐待に関して、主に1980年代の問題について「子どもの危機的状況」という視点から心理社会的分析を行った。 6.学校教員への面接調査を行い、児童生徒の非行の態様の変化を明らかにするために、質問紙を作成した。
|
Research Products
(8 results)