2006 Fiscal Year Annual Research Report
内的作業モデルの世代間伝達とその変容プロセスに関する研究
Project/Area Number |
17530506
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
内田 利広 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (20263999)
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Keywords | 臨床心理学 / 愛着 / 内的作業モデル(IWM) / 世代間伝達 |
Research Abstract |
目的 内的作業モデルを測定する尺度として、これまでは質問紙が主であったが、その妥当性・信頼性が問題視される中、本研究では、TAT物語による投影法を用いることで、そのパターンを明らかにしようとした。 方法 大学生男女145名(有効回答125名)に調査を実施した。 質問紙としては、TAT図版6枚、成人版愛着スタイル尺度、FACESKG-IV、自尊感情尺度、自己肯定感尺度を用いた。 結果 まず、先行研究を参考にして、TAT物語の分類基準を作成した。その基準に基づいて、125名のTAT結果の解釈、分類を行った(安定74名、回避28名、両価23名)。 次にこのTAT結果による3群について、愛着スタイル尺度得点による分散分析を行った。 その結果、アンビバレント得点においては、安定群と両価群において差が見られたが、それ以外では有意な差は見られず、したがって、愛着スタイル尺度とTATによって捉えられるIWMは、完全には重なり合うものではないことが示された。つまり、意識レベルでの質問紙と、より深い無意識レベルまでを考慮したTATでは、捉える内的作業モデルが多少異なることが示された。 TATと自己肯定感では、人間不信において、安定群に対して両価群が有意に高いことが示され、また、家族関係にっいては、きずな得点において安定群が回避・両価群より高いことが示された。 これらより、TAT物語により内的作業モデルに関連する自己肯定感や家族関係との関連が示され、TAT物語法の妥当性が示された。
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Research Products
(1 results)