2005 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害児者の自己意識に関する基礎的研究
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17530509
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木谷 秀勝 山口大学, 教育学部, 助教授 (50225083)
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 高機能自閉症 / アスペルガー症候群 / 高機能広汎性発達障害児の自己意識 / 高機能広汎性発達障害児の二次障害 / 高機能広汎性発達障害児のWISC-III / 想像性の障害 / ○△□物語法 |
Research Abstract |
1.目的:今回は高機能広汎性発達障害児(以下、HFPDD)の自己意識に関する調査を目的として、2つの視点からアプローチする。(1)「自己意識」の3側面の分析:自己がもつ一貫性・恒常性を測定するために知能検査(WISC-III)を、自己がもつ環境への能動的な操作・制御(想像性と関連して)を測定するために臨床描画法(人物画、○△□物語法)を、そして自己と他者との実感を伴った情緒的体験化を測定するために投影法(CAT)とナラティブ面接を実施する。(2)「自己意識」の発達的変化:HFPDDを小学1年〜3年、小学4年〜6年、中学1年〜3年の3群による発達的変化、特に10歳前後での変化を検討する。 2.結果と考察:HFPDD29名(年齢6歳〜15歳、男児21名、女児8名)の調査結果を分析する。WISC-III(平均FIQ=96.0(全体IQの範囲は73-118)、言語性IQ≧74)では、小学4年生以降と年齢と無関係にFIQ≧100では過敏さや不適応のリスクが高くなる。人物画の特徴でも「不器用さの顕著な傾向」から「対人過敏や迫害感といった外界への防衛機制」へと発達的特徴が移行する。また、○△□物語法では、「想像性の発達」と社会的適応度に正の相関があることが示唆されるが、健常児では10歳以降に伸びる想像性の統合化がHFPDDでは思春期に入っても困難であることが理解できる。CATでは、半数近くのHFPDDがIQや年齢に関係なく、適切な文脈理解が困難なことが推測される。そして、ナラティブ面接では、中学生になると自己に対する肯定的認知が低下して、将来への展望もあいまいになる傾向が見られる。以上から、HFPDDの自己意識の特徴として、成長やIQの高さと反比例する形で自己がもつ元来の脆弱性が顕在化しやすいことが示唆される。しかも、複雑な社会的状況では、10歳前後から自己認知が否定的になりやすく、自己の統合化の困難さもあり、結果的に過敏さや迫害感が強くなり、二次障害を生じやすいことが理解できる。
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Research Products
(2 results)