2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ感情とコーピング機能を操作因子とした適応への縦断的介入研究
Project/Area Number |
17530510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
山崎 勝之 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (50191250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 明子 美作大学, 生活科学部, 助教授 (80299247)
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Keywords | ポジティブ感情 / コーピング / 縦断的研究 / 健康・適応 |
Research Abstract |
ポジティブ感情は、特定のコーピング機能、なかでもポジティブな意味をストレス事象に見いだすコーピングを通して健康に寄与することが示唆されている。本研究においては、この領域におけるこれまでの方法ならびに分析上の問題を克服した上で、ポジティブ感情の機能をコーピングと健康との関連から明らかにすることをめざした。 まず、最初の研究では、この問題を横断的研究手法を用いて調べるため、男女大学生418名を対象として、ポジティブ感情と問題ならびに情動焦点型コーピンングを質問紙によって測定した。その結果、大きな性差が認められ、男性では、ポジティブ感情と問題焦点型コーピングに正の関連が認められ、女性では、ポジティブ感情と感情表出の間に正の関連がみられた。 そこで次の研究では、この問題を縦断的研究で実施し、男女大学生470名を対象に、ポジティブとネガティブ感情、問題および情動焦点型コーピングを、5週間を経た2時点間(T1,T2)で質問紙によって測定した。その結果、男性においては、T1でポジティブ感情が高いほど、T2での認知的再解釈(問題焦点型コーピングの1つ)が高まり、女性においては、T1の認知的再解釈がT2のポジティブ感情を高めた。この結果は、ポジティブ感情が認知的再解釈(ポジティブな意味の発見)と因果的に結びついていることを示唆している。 さらに続く研究では、同様の方法で、男女大学生525名を対象に、縦断的研究を行い、ポジティブ感情と健康ならびに生活習慣の関連を調べた。その結果、男性では、T1の低いネガティブ感情がT2の健康状態と正に関連し、女性では、T1の高いポジティブ感情と低いネガティブ感情がT2の健康状態と正に関連していることがわかった。 こうして、ポジティブ感情と認知的再解釈、ならびに健康との関連についての因果関係が示唆され、次年度に展開される介入的研究での成果が期待される。
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Research Products
(2 results)