2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のための心理療法の開発とその実際的展開-包括的セラピーを中心に-
Project/Area Number |
17530513
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
原 千恵子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30320823)
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Keywords | 高齢者 / 施設入居 / コラージュ療法 / 箱庭療法 / 音楽療法 |
Research Abstract |
施設入居者中の高齢者を中心にセラピーを実施している。セラピー実施回数は現在110回(6年目)である。これまでの経験を通して、高齢者に対するセラピーは言葉によるよりも、芸術療法的手段が効果があがることわかってきた。そこでコラージュ療法、箱庭療法、音楽療法などを既存の方法ではなく、対象者に合わせた方法で実施した。たとえばコラージュは対人関係を主として、お話を多く交えながら、セラピストと会話しながら制作した。「ナラティブメソッドによるコラージュ」とも言うべきものでお話の不十分なところをコラージュで補うといったものであった。その結果、これまでほとんどしゃべらなかった人が、自分の思いを述べ、作品は明るく楽しいものになってきた。 箱庭療法では、既存の砂箱は、視野がせまくなり、体の自由もきかなくなってきた対象には大きすぎるので、対象者にあわせたものに代えて使った。視野に入り、手の届く大きさを基準とした。そして車椅子の対象者や移動な困難な対象者ができるように、ミニチュアを人、動物、植物、建物、宗教的オブジェ、乗り物などに分類してセラピストが持ちまわって選んでもらうようにした。結果的に高齢者は興味を持って箱庭制作を行い、作品は回想を主としたもの、宗教的なテーマ、団欒、憩い、希望などに分類でき、心的内面を表現することができた。 現在音楽療法を実施中であるが、これまであまり実施されていない音楽の「鑑賞」を中心に実施している。音楽を聴き、その感動を色で表現するなどを通して高齢者の認知機能を活性化する試みなども実施している。演歌や童謡に限られやすい音楽の幅をひろげ、クラシック音楽を楽しむ時間を楽しみにする人がふえてきた。
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