2006 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設入所中の児童のメンタルヘルスの実態と心理ケアに関する研究
Project/Area Number |
17530516
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
生地 新 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (20185177)
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Keywords | 児童養護施設 / 児童虐待 / 注意欠陥 / 多動性障害 / 発達障害 / 心理療法 / 心理ケア / チェックリスト |
Research Abstract |
平成18年度は、山形県内A施設と山梨県内C施設の児童養護施設において、入所児童の精神的な健康状態について、職員による日本版CBCLと日本版ADHD-RSを用いた評価を施行した。平成17年度に同様の調査を山形県内B施設で施行しており、今年度はそのデータと、今年度のデータをまとめて検討を行った。解析の対象は、用いた日本版CBCLが4歳以上の子どもを対象としたものであったこともあり、これらの施設に入所している4歳から18歳の児童青年合計138名(男子72名、女子66名)で、そのうち、幼児8名、小学生58名、中学生39名、高校生22名であった。この3施設のすべてに週4日以上勤務している心理療法担当者が勤務していた。施設内で心理療法を受けている子どもは、A施設で56名中21名、B施設で35名中18名、C施設で47名中9名であった。性別では、男子25名、女子23名が心理療法を受けていた。また、男子6名、女子5名が精神科医療機関を受診していた。医師による診断名は、注意欠陥/多動性障害、てんかん、精神遅滞、PTSD,学習障害などであった。 ADHD-RSのカットオフポイントを15点とすると、男子21名、女子8名、合計29名が15点かそれ以上の得点でADHDの可能性が高い者であった。この29名のうち、施設内で心理療法を受けている者は17名であった。調査時点で精神科医療機関を受診している者は5名であった。 以上の結果から、児童養護施設にはADHD様の症状を示す子どもは多く、そのような子どもたちは、心理療法を受ける比率や、精神科医療機関を受診する比率が高かった。ADHD症状のチェックリストは、児童養護施設での心理ケアの必要性を判断する一つの指標となることが示唆された。ただし、ADHD様の症状を示す子どもにおいては、ADHDだけでなく、他の発達障害や児童虐待の影響も考慮すべきと考えられる。
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Research Products
(1 results)