2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設入所中の児童のメンタルヘルスの実態と心理ケアに関する研究
Project/Area Number |
17530516
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
生地 新 Kitasato University, 大学院・医療系研究科, 教授 (20185177)
|
Keywords | 児童 / 青年期 / 児童虐待 / 児童養護施設 / 心理療法 / 精神保健 / 児童青年精神医学 / 発達障害 |
Research Abstract |
平成19年1月から3月にかけて、研究代表者がコンサルテーション活動を行っている山形県内の児童養護施設2施設と山梨県内の児童養護施設1施設において、生活ケアを担当している職員を対象にそれぞれの職員が担当している4歳から14歳の児童の精神的健康状態等に関する質問紙調査を行った。質問紙は、日本版CBCLと日本版ADHDRS-IV、それに医療機関受診状況・診断名・精神科治療薬の服用状・心理療法の状況を聞く調査用紙から構成されている。今年度は質問紙調査の結果について統計的な分析を行った。また、各児童の心理ケアの状況について、各施設の心理療法担当職員に対して面接調査を行った。 質問紙調査の結果、138人の児童に関するデータが得られた。CBCLの内向尺度の境界域を越える得点を示した児童は14名(10.1%)で、外向尺度で境界域を越えた児童は18名(13.0%)であった。ADHDRS-IVでカットオフポイントを超えたのは、18.1%であった。その一方、虐待を受けていたことや行動上の問題を理由に施設内もしくは外部機関で心理療法を受けている児童は、45名(32.6%)であった。心理療法を受けている児童は、受けていない児童に比べてCBCLやADHDRS-IVの得点が有意に高かった。CBCLやADHDRS-IVでは明確な問題を把握できないが、心理療法によってその児童の情緒発達上の問題が明らかになる場合も少なくなかった。 以上の結果から、児童養護施設に入所中の児童は、情緒発達の上で様々な問題を抱えており、多動や暴力などの外的な行動上の問題を示す例も多いが、内面的にも多くの問題を抱えていて、心理療法や精神医学的な治療を必要としている児童が多いことが示された。
|
Research Products
(2 results)