2007 Fiscal Year Annual Research Report
世代間交流を促す「祖父母と孫の回想法」の開発:祖父母の自己語りと自我同一性の関連
Project/Area Number |
17530521
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山口 智子 Nihon Fukushi University, 社会福祉学部, 准教授 (00335019)
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Keywords | 回想法 / 世代間交流 / 自我同一性 / 主観的幸福感 / 語り |
Research Abstract |
急速な高齢化にともない、高齢者の心理を理解し、高齢者の生活の質を高める方法を開発することは急務の課題である。一方、青年期の問題として、自我同一性をめぐる問題が指摘されている。これらの高齢者・青年期の問題について、祖父母と孫の交流が時間的展望を促すという知見もあり、祖父母と孫の世代間交流は両者の発達を促進する可能性が考えられる。そこで、本研究では祖父母と孫の関係に注目し、高齢者の心理的援助として注目されている回想法(Butler, 1963)を用いて、祖父母と孫の世代間交流を促す回想法の開発を試みた。また、祖父母が孫に人生を語る世代間交流にはどのような意義があるのかを検討した。 最終年度である今年度は、17年度に行った質問紙調査と18年度に行った効果研究の結果について、質的な検討をおこなった。具体的には、(1)「祖父母と孫の世代間交流と自我同一性・基本的信頼感」の調査について、世代間交流のあり方と孫である大学生が抱く祖父母イメージがどのように関連するのかを質的に分析した。その結果、自我同一性や基本的信頼感の高低と祖父母イメージには関連は認められないが、世代間交流が密な場合は祖父母イメージが肯定的であった。(2)「祖父母と孫の回想法」を研究協力者18名(祖父母9名と孫である大学生9名)に行ってもらい、事例ごとに検討した。その結果、祖父母と孫の回想法で、祖父母は人生を語ることによって、語ったことに沿うように、家族関係に変化をもたらす可能性があると考えられた。
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