2007 Fiscal Year Annual Research Report
両眼立体視空間における単眼刺激の定位について-両眼捕捉と奥行き起因運動
Project/Area Number |
17530526
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
下野 孝一 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 教授 (70202116)
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Keywords | 単眼刺激 / 視方向 / 頭部運動 / 現象的幾何学 |
Research Abstract |
両眼捕捉現象が生じるような立体視刺激の融合を保ちながら側方に頭部を動かすと,その立体視刺激上の単眼刺激は動いて見える.この単眼刺激の見かけの運動が奥行き起因運動現象である.この現象は,融合した立体視刺激と両眼が作り出す幾何学と"両眼性補足"の概念で説明可能できる.本年度はこの現象の説明原理である現象的幾何学説が垂直方向へも拡大できるかどうかの実験を行った,実験変数は頭部運動(縦方向と横方向)である.被験者の主要な課題は,融合刺激の見かけの運動量と見かけの奥行きを報告することであった.その結果,運動方向は幾何学的予測と一致したが,運動量は縦方向が小さかった.また,本来は制止すべき基準刺激が縦方向の運動条件のときのみ小さかった.この縦方向運動条件における基準刺激の運動を,現象的幾何学の考えを使って予測すると,その予測値は縦方向運動条件における相対的に小さい見かけの運動量とほぼ一致した.このことは縦方向の頭部運動であっても,(運動量が小さい可能性はあるが)奥行き起因現象が生じることを示唆している.この実験結果は,知覚コロキウムにおいて発表した. また本年度は単眼刺激の空間定位に関して文献的研究を行った。空間定位のうち距離定位に関しては、自己中心距離(絶対的距離)に関する文献と相対距離に関する文献に分類し、方向手がかりに関しては自己中心方向(絶対的方向)と相対的方向に関する文献に分類し検討した。検討の結果、距離定位、方向定位の原理と思しき考えにたどりついた。この考えについてはなお考察を続け、本として発表したい。
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Research Products
(7 results)