2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530529
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
津崎 実 京都市立芸術大学, 音楽学部, 助教授 (60155356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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Keywords | 寸法変調 / 音声知覚 / 聴覚モデル / 母音正規化 / 音脈分凝 / 聴覚情景分析 / 聴覚情報処理 / 音の生態学 |
Research Abstract |
本研究の総合的目標は,音のスペクトルに対する変化のうち音源の寸法の変化に起因する成分の知覚的分離過程の解明を目指すことにある.そのための鍵となる実験刺激として,寸法変調音声を合成し,これに対する知覚像の推定を知覚実験と計算機シミュレーションを両輪として実施するというのが研究の大きな枠組となる.寸法変調音声とは,身体の大きさが発話の最中に時々刻々と変化するという,自然界では存在しない刺激信号である. 今年度の第一の成果は,この不自然な刺激に対する知覚的追随性を測定する目的で,音声の発話速度とは独立な正弦波的寸法変調を加えた刺激に対する母音同定成績を知覚実験によって調べた結果として,変調周期が250ms付近に成績が最も悪くなる点が存在することを確認した.また,ウェーブレット・メリン変換に基づく聴覚計算モデルを使用し,これらの刺激を入力としたシミュレーションを実施した結果にも,変調周期に応じた変曲点の存在が予想された.但し,計算機シミュレーション上は250ms以下の成績の向上は説明できなかった. 第二の成果として,以上の点についての検討するため,発話速度と独立の変調ではなく,母音の区間毎に変調を切り替える形式の新たな寸法変調母音系列を用いた聴取実験を実施した.これは当初次年度以降に実施する予定を早めたものである.この結果,寸法変調を高速でかけることにより寸法に応じた音脈分凝が生じ,これが見かけ上の聴取成績に影響を与えることが分かってきた.この結果については,平成18年8月に実施予定の国際聴覚シンポジウム(ISH2006)での発表が許可されている.ISH2006は発表件数も限定された中身の濃いシンポジウムで研究の初年度としては順調な滑り出しを見せている.
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Research Products
(6 results)