2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530529
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
津崎 実 京都市立芸術大学, 音楽学部, 淮教授 (60155356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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Keywords | 寸法変調 / 音声知覚 / 聴覚モデル / 母音正規化 / 聴覚情景分析 / 時間追随性 / 聴覚情報処理 / 聴覚情景分析 |
Research Abstract |
本研究の総合的目標は,音のスペクトルに対する変化のうち音源の寸法の変化に起因する成分の知覚的分離過程の解明を目指すことにある.その解明の焦点は寸法情報の分離・抽出過程の時間追随性の限界を測ることであった。しかしながら,前年度に実施した母音の区間毎に変調を切り替える形式の寸法変調母音系列を用いた聴取実験の結果では,変調の切り替え速度が速くなることによって寸法の異なる二話者が同時に話しているような印象をもたらすことが分かった。このような寸法の急速な変調に伴う音脈分凝の発生は、初年度に行ったような母音区間とは独立な変調の場合には母音の聴取に取って有利に働いていると考えられる。それに対して,母音ごとに寸法が切り替わるような実験では、各母音の系列内の順番を正しく認識できなくなるという音脈分凝にとって共通の特性により、見かけ上の同定成績の劣化に繋がっていることが分かった。さらに、それがあくまでも見かけ上の劣化であることを示すために系列内の単独の母音に対する同定能力を問う実験を実施した結果、単独の母音についての同定は問題なくできていることを示す実験結果が得られ,これについて8月に開催された国際聴覚シンポジウムでの発表を行った。また、9月に開催されたケンブリッジ大学における寸法知覚と聴覚イメージに関するシンポジウムにおいても研究成果を報告した。以上のような知見からは、寸法変調母音同定課題自体は興味深い現象である反面,本研究課題が本来の目的とした寸法抽出過程の時間追随性を測定するにあたっては関わる要因が多すぎるとの判断に至った。そこで、寸法変調の存在の検出だけをする実験課題を実施した。結果は予想に反してむしろ早い変調の方が検出しやすいという逆説的なものとなった。その原因としては高速の変調によって駆動パルスごとインパルス応答波形に存在する尾西構造の時間的な揺らぎが効率的な検出手掛かりとなることを発見した。
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Research Products
(6 results)