2005 Fiscal Year Annual Research Report
雌ラットの性的動機づけに関与する脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
17530532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 一夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (30282312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 庸男 目白大学, 人間社会学部, 教授 (70092509)
近藤 保彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (00192584)
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Keywords | ラット / 性行動 / 動機づけ / 視床下部腹内側核 / 中脳中心灰白質 / 性的嗜好性 / ペーシング行動 |
Research Abstract |
雌ラットの視床下部腹内側核(VMH)および中脳中心灰白質(MCG)を破壊するとロードシスが抑制されることから、両部位はロードシス促進機構の一部と考えられている。今年度は、性的嗜好性や雄に対する接近行動といった雌の性行動の動機づけ的要素にもVMHやMCGが関与しているのかを検討した。 まず、8週齢のLong-Evans系雌ラットの卵巣をエーテル麻酔下で摘出し、estradiol benzoate 5μg (EB)およびprogesterone 500μg (P)を投与して人工的に発情させた後、2〜3回性行動を経験させた。その後VMH(n=15),MCG(n=8)損傷群には両側性にradiofrequency損傷手術を行った。1週間の回復期間の後、性的嗜好性テストとpaced matingテストを3つのホルモン投与条件下(ホルモン投与なし、EBのみ投与、EB+P投与)で行った。性的嗜好性テストでは、性的に活発な雄と去勢雄それぞれに対するnose poking時間を測定した。その結果、統制群では、EBおよびEB+P投与条件下で性的に活発な雄に対する嗜好性がみられたが、両損傷群ではそのような嗜好性は認められなかった。Paced matingテストでは、仕切り板で区切られた2つの部屋からなる観察箱の一方に雌ラットを、他方の部屋に性的に活発な雄ラットを入れ、10分間性行動を観察した。仕切り板は底部から3cm上げられ、体の小さな雌のみが自由に2つの部屋を行き来できるようにした。その結果、両損傷群では、いずれのホルモン投与条件下においても雄の部屋に入るまでの潜時が統制群に比べて有意に長く、また雄の部屋での滞在時間が短かった。 以上の結果から、VMHおよびMCGはロードシスのような性行動の反射的要素だけでなく、性的嗜好性や雄に対する接近行動のような動機づけ的要素にも関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)