2006 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚における能動的注意の生成過程とその参照系(リファレンスフレーム)の検討
Project/Area Number |
17530536
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
濱田 泰一 Okayama Prefectural University, 情報工学部, 教授 (90244722)
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Keywords | 体性感覚 / 注意 / 脳磁計 / 非侵襲的計測 / 視覚 / 誘発磁場 / リファレンスフレーム |
Research Abstract |
体性感覚における能動的注意の生成の時間過程を解析するために、160チャンネル全頭型脳磁計を用いて1次及2次体性感覚皮質由来の誘発磁場を計測した。被験者の眼前に右あるいは左を向いた矢印を呈示し、指示される側の示指にできるだけ早く注意をむけ、矢印呈示ご200〜700ms後に電流刺激を示指に与え、誘発される皮質強度を刺激先行時間に対してプロットした。1次皮質は注意により皮質活動が増強することはなかったが、2次体性感覚皮質活動は、矢印呈示400ms後の刺激により有意に増加した。心理実験(T0J課題)により得られた注意生成過程の時間プロフィールは、2次皮質活動のプロフィールによく符号した。皮質活動計測及び心理実験の結果から、生成された能動的注意が感覚皮質に作用するのは、手がかり刺激後、約400msの時点であると考えられる。さらに、ある披見者から得られた結果は、手を交叉した場合に注意が皮質活動に影響を及ぼすにはより長い時間が必要であることを示唆した。この遅れは、体性感覚における空間的注意を向ける方向を計算するのに要した時間に相当するならば、2次皮質活動の増加は空間的注意によるのかもしれない。また、2次体性感覚皮質活動は、手の位置によりその皮質活動強度が変化し、手の位置に対するチューニング曲線の存在が示唆された。手の位置そのものの効果であるのか、手に対する空間的注意の作用によるかは、本研究結果から判断することはできないが、このチューニング曲線が、視線方向をシフトした側にシフトするという本研究で得られた知見は、体性感覚的注意と視覚的が空間的な参照フレームを共有し、感覚モダリティ間の相互作用の場となっている可能性を示唆する。
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