2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530538
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡市 廣成 同志社大学, 文学部, 教授 (40066288)
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Keywords | 海馬采-脳弓 / 視床前核 / モリス水迷路課題 / MK-801 / スコポラミン / 遅延場所見本合わせ課題 / 物体探索課題 |
Research Abstract |
ラットの空間における経路統合機構の脳機構を解明するために、空間認知を必要とする行動に関与する海馬系の脳内機構の関与を明らかにする以下の実験的研究を行った。 第1は、海馬と視床前核に至る海馬前頭系の役割を解明することである。このため、海馬側における海馬采-脳弓と視床の前核を対象に、同側あるいは対側損傷を行い、物体探索課題とモリス水迷路課題の遂行に及ぼす効果を検討した。その結果、いずれの課題でも空間認知を要求される事態では、対側損傷群が同側損傷群や統制群に比べて明らかな障害を示し、海馬-視床前核系が空間認知に関して、機能的連関を有することが明らかになった。 第2に、経路統合の基礎に働くであろう記憶について参照記憶と作業記憶の側面から検討した。ラットの記憶に障害効果が報告されているNMDA受容体拮抗薬MK-801の投与が、T迷路場所課題(参照記憶)と遅延場所合わせ(DMP)課題(作業記憶)に及ぼす効果を検討した。その結果、統制群は場所ストラテジーを用いて行動したが、MK-801投与ラットはこの最適なストラテジーを用いることはなかった。しかし、DMP課題では投与の効果は認められなかった。 第3に、ホーミング行動に及ぼすMK-801あるいはムスカリン受容体拮抗薬スコポラミン投与の効果、さらに海馬采-脳弓損傷が同じ行動に及ぼす効果を明らかにし、比較検討することを試みた。その結果、MK-801投与は海馬損傷と同様に経路統合機能の障害が生じたが、スコポラミン投与では障害は生じなかった。 研究成果の一部を、日本動物心理学会大会や北米神経科学学会において報告した。
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Research Products
(3 results)