2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロの打楽器奏者による演奏を通じた感情伝達について
Project/Area Number |
17530539
|
Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
山崎 晃男 大阪樟蔭女子大学, 人間科学部, 教授 (40243133)
|
Keywords | 演奏 / 感情 / 伝達 / 即興 / 打楽器 / プロ音楽家 / 非音楽家 / 図形 |
Research Abstract |
演奏における音楽的意図について、形式的意図と感情的意図の二つに分類して、それぞれの音楽美学的意味について考察した。形式的意図には音楽を形作る音そのものが音楽の意味であるとする形式美学的見解が、感情的意図には音楽の意味として感情的内容をあげる内容美学的見解が対応することを示した上で、音楽心理学的にはその両方の意図を取り上げて検討する必要があると結論づけた。それに引き続き、音楽心理学の領域においてなされた先行研究についてのレビューを行い、本研究についてもその中に位置づけた。 実験研究として、即興的な打楽器演奏を通じた感情の表現について、「怒り、喜び、悲しみ」という主要な3つの感情を選び、各感情について3種類の強度で表現するよう、プロ打楽器奏者と特別な音楽的訓練を受けていない者に依頼し、その演奏を分析、比較した。その結果、打音の強さと打間時間に関しては、意図する感情ごとの演奏特徴は先行研究と概ね一致しており、演奏者による違いは見られなかった。また、意図した感情の強度は、打音の強さに影響しており、これについてもプロか否かによる違いはあまり見られなかった。一方、プロ打楽器奏者は、打音の強さや打間時間の変化幅が大きく、打音のon-off時間が意図する感情によって大きく変化する、といった点で特別な音楽的訓練を受けていない者と異なっていた。 また、ブロ打楽器奏者の表現力について更に検討を進めるための比較データを集めることを目的として、特別な音楽的訓練を受けていない者に単純な線画図形を打楽器の即興演奏によって表現してもらう演奏実験と、その演奏を刺激とする聴取実験を実施した。得られた演奏の特徴や演奏意図の伝達について検討した結果、特別な音楽的訓練を受けていない者も各図形を打音の強さや打間時間の違いによって演奏し分けており、そうした意図は聴き手にかなりの程度伝わることが示された。
|
Research Products
(2 results)