2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期からの単独飼育によるマウスの行動・学習障害は集団飼育経験により改善する
Project/Area Number |
17530540
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
磯 博行 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80068585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
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Keywords | 生育環境 / 脳の発達 / 学習能力 / 記憶 / 機能改善 / マウス |
Research Abstract |
離乳直後からの成長期間中、雄C57BLマウスを4種類の異なった環境で飼育し、その効果を行動と学習課題を用いて調べた。また、前者と同じ条件で飼育した別のマウスの脳内の細胞の新生を、BrdU法を用いて調べた。豊富な環境(EE)群は3週齢から11週齢までの8週間・隠れ家や回転輪などがある大きなケージに4匹ずつ入れられた。貧しい環境(PP)群は同じ期間遊具など何も含まない小さなケージで個別飼育された。2種類の環境変化群が設けられた。EP群は、8週間の飼育期間のうち始めの6週間をE環境で過ごし、次の2週間はP環境で飼育された。PE群では逆にP環境からE環境へと変化した。餌や水は全ての条件で自由に摂取できた。行動的指標を用いた検査が12-13週齢に行われた。EE群はPP群に比べて全般に安定した行動を示し、有意に水迷路学習が優れていた。PEとEP群の比較では、最初の6週間の飼育環境の効果よりも後の2週間の飼育環境の効果の方が、行動や学習に有意な効果をもたらした。さらに、脳内の神経細胞の新生を調べたところ、行動的結果と一致し、EE群はPP群よりも海馬や皮質においてより多くの新生細胞が発現していた。また、PE群の新生細胞数はEE群に匹敵し、逆にEP群のそれはPP群の値に近似した。これらの結果から、1960年代から報告されてきた豊富な環境の脳の発達と行動や学習・記憶に及ぼす恩恵的効果が再確認されるとともに、そのような有意な効果が2週間という比較的短期間の環境変化によって生じる事、そしてそれが脳の神経細胞の新生によってもたらされる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)