2005 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制に及ぼす発達環境の影響に関する分析
Project/Area Number |
17530542
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 一之 独立行政法人理化学研究所, 先端技術開発グループ, 研究員 (50212288)
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Keywords | 聴覚性驚愕反応 / プレパルス抑制 / エンリッチメント / 発達環境 / マウス |
Research Abstract |
1.研究の実施概要 本研究は発達環境がマウスの聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制現象(PPI)に与える影響につい検討することを目的としている。本年度は当初の研究計画に従って、近交系マウスであるC57BL/6J系統のマウスを用いて、(1)育児条件、および(2)離乳前の環境エンリッチメントが性成熟後の聴覚性驚愕反応およびPPI現象に与える効果について重点的に検討を加えた。また、予備実験として、薬物の効果および、近交系マウスであるDBA/2J系統における単独飼育の効果についても検討した。 2.結果 (1)育児条件の影響の評価:短期母子分離(生後3日目、15分1回)、同居個体数(生後4週の離乳時から8週齢まで4週間。単独飼育、2匹飼育、および5匹飼育の3条件)および父親個体との同居(離乳時まで)の効果について検討した。基礎測定として自発活動性を測定したが、各条件の間で明瞭な差は認められなかった。驚愕反応実験においては、短期母子分離実験および同居個体数実験では、聴覚性驚愕反応およびPPIのいずれにおいても飼育条件の効果は認められなかった。一方、父親個体との同居実験では、PPIには変化が認められなかったが、聴覚性驚愕反応において低下傾向が見られた。 (2)環境エンリッチメントの効果:環境エンリッチメント素材として紙製のマウスハウスを利用した(生後4週の離乳時から8週齢まで4週間)。その結果、対照群(マウスハウスなし)と比較して聴覚性驚愕反応の低下傾向が見られた。 (3)予備実験:神経伝達に重要な役割をしていると考えられるガストリン放出ペプチドの受容体拮抗薬の投与が、聴覚性驚愕反応を促進することが示された(第69回日本心理学会大会(2005年9月)において報告)。また、DBA系統においては単独飼育の効果が認められなかった。
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