2006 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制に及ぼす発達環境の影響に関する分析
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17530542
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
山田 一之 独立行政法人理化学研究所, 動物実験支援ユニット, 専門職研究員 (50212288)
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Keywords | 聴覚性驚愕反応 / プレパルス抑制 / 環境エンリッチメント / 飼育用玩具 / 飼育用床材 / 行動テストバッテリ / 発達環境 / 飼育環境 |
Research Abstract |
本年度は当初の研究計画に従って、マウスにおける聴覚性驚愕反応およびそのプレパルス抑制(以下PPIと略す)における発達環境要因の効果について、環境エンリッチメントの観点から検討を行った。実験と結果の概要は以下の通りである。 1.飼育素材の効果:各種床材を用いて離乳後4週間の飼育を行い、8週齢から基本テストバッテリに従って行動解析を行った。基本行動テストバッテリは、オープンフィールド、明暗箱、高架式十字迷路、聴覚性驚愕反応、および古典的恐怖条件付けの各テストからなる。その結果、飼育用床材の種類によって、成長後の各種行動に変化が見られることが明らかになった。PPIについては、PPIを阻害する効果を示す床材は認められたが、促進する床材は認められなかった。これらの結果は、離乳から性成熟期に至る個体の行動発達に飼育用床材による環境刺激が重要な役割を果たしていることを示唆するものといえる。 2.飼育時の玩具の効果:飼育ケージ内に玩具(回転盤)を導入して離乳後4週間の飼育を行い、8週齢から基本テストバッテリに従って行動解析を行った。その結果、回転盤の導入によって、成長彼の各種行動に変化が見られることが明らかになった。特に、PPIについては回転盤の導入によって抑制が強まる傾向が見られたが、統計的には有意に至らなかった。更に条件を検討して効果を明らかにする必要があろう。これらの結果は、離乳から性成熟期に至る個体の行動発達に対して、飼育環境内への玩具の導入が大きな効果を持つこと、しかし、床材の効果とは異なり、その効果が複雑なものであることを示唆するものといえる。 3.まとめ:本年度の研究から、当初の目的であったPPIについて、発達環境の操作によってその効果を増強させ得ることを示すことができた。今後確証実験を続けるとともに、このような効果を生じた内部メカニズムの検討を進める必要がある。
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