2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツにおける「学び」の変容に関する教育思想史的研究〜主知主義から錬成へ
Project/Area Number |
17530547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 禎文 東北大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (20235675)
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Keywords | 近代ドイツ / ナチズム / 学び / 教育的経験 / ヨハネス・シュタルク |
Research Abstract |
平成17年度は、上記研究課題に関わる資料収集を中心に研究を行った。 近代ドイツにおける教育史研究は、これまで内外ともに主として教育学説史、教育政策史の研究が中心に行われてきた。しかし、これらの研究においては、教育の中核的な成果とも言うべき被教育者の教育的経験が等閑視されてきた。本研究はこうした研究上の盲点を補うため、主に1900年代から1930年代の、被教育者における教育的経験を自伝、日記等の史料に即して明らかにし、これによって近代ドイツの辿った教育の変容、とりわけ「学び」の変容を、より実態に近い形で明らかにすることを目的とするものである。 本年度は、東北大学、東京大学、京都大学等の国内の図書館に所蔵されている文献の確認と収集を行った。研究成果としては、教育史学会第49回大会において1919年にノーベル物理学賞を受賞し、後にナチ的科学を担うヨハネス・シュタルクの生育過程とその社会政策上の理論分析に関する報告を行った。シュタルクの事例から-未だすべての史料が公開されていないものの-、すでに19世紀末の段階から、中等教育における伝統的な教養教育が変容し、特定の専門に特化した教育が行われていたことが明らかになった。そしてこうした「主知主義」に傾斜した教育的経験とナチのイデオロギーとが相俟って、1930年代の教育論および教員養成論は、イデオロギー注入に重点を置く「錬成」へと転換する筋道が浮かび上がる。
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Research Products
(1 results)