2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカおよび日本におけるシティズンシップ教育の思想史的文脈とその変容
Project/Area Number |
17530556
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小玉 重夫 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (40296760)
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Keywords | シティズンシップ / 公共性 / ハンナ・アレント / 教育 / チャータースクール |
Research Abstract |
本研究では、アメリカだけでなくヨーロッパにおける動向も視野に入れつつ、資本主義諸国におけるシティズンシップ論の相克が、日本におけるシティズンシップ教育論や公共性把握とどのように関連しているかを追究することを目的としている。 以上の目的をふまえつつ、平成19年度は特に、アメリカにおけるチャータースクールや学校選択論の展開と、学力とトランジッションの問題に焦点をあてた研究業績を発表した。また、日本教育学会のラウンドテーブルにおいて、戦後教育学の前提を問い直す口頭発表を行った。これらの業績を通じて、アメリカおよび日本におけるシティズンシップ教育の思想史的文脈を1990年代以降の教育の再政治化という点から明らかにするとともに、教育の政治性を捕捉するための教育学的パラダイムの前提を再構成する作業にも着手した。 従来、シティズンシップ教育をめぐる問題は教育行財政論や教育課程研究などの個別領域において各論的に議論されてきたが、これらを統合する視点は必ずしも十分に形成されてきたとはいえない。本年度の研究成果によって、学校選択論議における教育の政治性の問題と、学力論争におけるペダゴジーの再政治化の問題を統合する視点を獲得することにより、この点を克服しうる可能性を開く事が可能になった。また、現在議論されている教育における「新しい公共性」の背景となる論点を深め、21世紀のシティズンシップ教育の思想を展望するうえで、重要な鍵となる視点を得ることができた。
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Research Products
(3 results)