2006 Fiscal Year Annual Research Report
新教育運動期における授業時間割の改革と編成原理に関する比較社会史的研究
Project/Area Number |
17530570
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
宮本 健市郎 神戸女子大学, 文学部, 教授 (50229887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 洋子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (40311823)
山名 淳 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80240050)
渡邊 隆信 兵庫教育大学, 大学院・学校教育研究科, 助教授 (30294268)
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Keywords | 時間割 / 新教育 / 大正新教育 / 田園教育舎 / ドルトン・プラン / リズム / ドイツ / イギリス |
Research Abstract |
日本、イギリス、およびドイツの19世紀末から20世紀初頭にかけての授業時間割の実態を示す資料を収集し、それをもとに編成原理の抽出を試みた。 日本については、明治初期から大正時代までの時間割をめぐる議論を宮本が整理した。1890年前後に、学年の始期、学期の区切り、休日と授業の日数、休憩時間などについての激しい論争があって、明治末までに、45分授業15分休憩という一般的な方法が定着した。大正新教育の時期になると、ドイツやフランスでの新教育の実践がわが国にも紹介されるようになり、それらの国での実践を参考にしつつ、「生命のための時間割」(野村芳兵衛)、「活動にはリズムが伴ってをる」(佐藤熊治郎)などを主張したり、時間割編成の原則を提示したりする教育者が出現した。その結果、時間割を柔軟にした実践、たとえば郷土教育の実践などが各地で始まった。 山名は、近代的な時間が出現した背景を探り、ドイツの新教育では、時間割編成においてリズムへ配慮することが正当化されるようになった論理の解明を進めている。さらにリズムへの配慮が、個人を近代的時間からの解放を意味すると同時に、国家が個人を統制する可能性も持っていることに注意を向け、その二義性の解明を課題として設定した。 渡邊は、田園教育舎系の学校であるオーデンヴァルト校におけるコース組織の目的と実態の解明を目指している。コース組織が、学習者が自主的活動に全力を投入することができるようになることを目的としており、ドルトン・プランを参考にしながら、細切れの時間にしばられた授業を廃し、生徒の選択の自由を認めたことを突き止めた。 山崎は20世紀初頭のイギリスの小学校のカリキュラム改革に注目して、レクリエーションやグループ活動が導入されたこと、教師の自由裁量が増えたこと、さらに、教師の専門性の重要性が増したことなどを解明した。
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Research Products
(7 results)