2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼児・学童期の家庭・地域における生活過程分析と大人の教育的役割についての研究
Project/Area Number |
17530578
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南里 悦史 九州大学, 人間環境学研究科, 教授 (20218077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財津 庸子 大分大学, 教育福祉学部, 教授 (70325695)
末崎 雅美 九州大谷短期大学, 幼児教育学科, 講師 (30336052)
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Keywords | 幼児教育 / 家庭教育 / 地域の教育力 / 生活過程分析 / 大人の教育的役割 / 生活体験と言語認識 |
Research Abstract |
本研究は、子どもの生活力の形成が今日の子どもの教育問題の重要な要因の一つであると捉え、子どもの生活環境である日常生活の生活過程分析と子どもの発達環境をつくり出す大人の家庭・地域における教育的役割の内実を明らかにすることを目的として、以下の調査研究を行った。 (1)学童期の子どもを対象とした質問紙による生活過程分析調査。 (2)学童期の子どもをもつ保護者の生活過程分析及び消費行動についての調査。 (3)乳幼児の生活習慣とその家庭の教育的役割についての質問紙調査。 (4)韓国、台湾、ドイツにおける幼児教育や環境教育、体験学習活動に関する現地調査。 これらの調査研究を通して、子どもの生活の基本的能力の形成基盤として、機能しえていない家庭が少なくない実態が明らかになった。報告者は、現在子育てに取り組む親の親世代を工業化の過程でさまざまなマニュアルを作ってきた世代という意味で「マニュアル世代」、今まさに子育てに取り組む世代を「新しいマニュアル世代」と位置づけ、「新しいマニュアル世代」は、家庭や地域が本来担っていた教育的役割や機能が弱まりつつあるなかで育ってきているために、子育てにおいてもマニュアル化や外注化を求める傾向が強いという仮説をもっている。本研究の成果は、それを少なからず裏づけるものとなった。「子どもは教えられていないものはできない」というある種自明のことを今一度おさえつつ、大人の教育的役割とは何かを子どもの生活現実から導き出していく作業を今後とも続けていくことが求められているのである。
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