2005 Fiscal Year Annual Research Report
戦後教育改革期における私学の設置主体と教員人事及び私学行政に関する構想の研究
Project/Area Number |
17530581
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高橋 寛人 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 準教授 (10188047)
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Keywords | 私立学校 / 学校法人 / 占領下の教育改革 / 教育公務員特例法 / 教員免許制度 / 私立学校審議会 / 教員人事 / 私立学校法 |
Research Abstract |
(1)占領期の関連資料の収集・整理:CIE Records、国立公文書館所蔵の『教育刷新委員会総会配付資料』などの中から、研究テーマに関する文書のマイクロフィルムを、複製・整理・分析した。 (2)現代日本における関連文献の収集と検討:現代日本における教育への公的関与と民間機関の関与に関する図書・論文を収集した。また、学校法人制度について、民法上の財団法人、特定非営利活動法人その他の法人との異同を知るために、法人制度に関する図書・文献を購入し、分析した。 (3)占領下における私立学校教員の人事制度について、教育公務員特例法の前身である「教員身分法案」における構想の解明:まず、「教員身分法案」の構想を日米文書の検討によって明らかにし、それが教育公務員特例法に転換する過程とそこにおける問題を解明した。また、大学関係団体が、私立大学教員を含む大学教員人事制度改革についていかなる構想をもっていたかを明らかにした。 そして、(1)の資料の分析・検討に基づいて、(3)について研究し、その内容を論文にまとめて日本教育学会の機関誌である『教育学研究』に投稿し、掲載された。その内容は、次のようである。戦後当初、教特法の前身として、田中耕太郎の構想に基づいて「教員身分法案」が立案されていた。これは、国、公、私立を問わず、また、大学教員だけでなく初等・中等教育機関の教員にも等しく高度な身分保障を行おうとするものであった。しかし、CIEは私立学校教員を含めることに強く反対した。GS公務員課は、国家公務員法と地方公務員法で十分であり、教員身分法などは全く不要であるとした。日本側がねばり強く交渉して教特法の成立にこぎ着けたが、その間に「教員身分法案」は公務員法の特則に矮小化され、内容も大幅に削られてしまったのである。ただし、大学教員に関する条項については、日本の大学関係団体の見解がCIEを通じて、教育公務員法に反映した。
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Research Products
(1 results)