2006 Fiscal Year Annual Research Report
移行期の社会参加支援システム構築に向けた政策的課題の究明
Project/Area Number |
17530593
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
平塚 眞樹 法政大学, 社会学部, 教授 (10224289)
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Keywords | 移行期 / 参加 / 若者 / 社会階層 / 社会政策 |
Research Abstract |
本年度の本研究では、国内ではあらたに京都・宮城を、国外では英国を訪問し、昨年度の経過ならびに本年度あらたに他で取得した助成金研究と統合しつつ、研究を継続した。 その過程で明らかにしつつあるのは、以下の諸点である。第一に、現在日本で展開されつつある移行期社会参加支援の実践・制度には、より一般的な青少年活動事業の系譜に立つ実践・現場、不登校・ひきこもり・少年犯罪など社会参加の困難を負う若者の支援機関としての系譜に立つ実践・現場、キャリア開発・インターンシップなど就業支援の系譜に立つ実践・現場といくつかあり、それぞれについて、支援理念や機関の管理運営、対象者の生活背景・経歴などに有意な違いもあると考えられ、しかしながらその違いについて意識化・交流化される機会がまだあまりに乏しいこと、第二に、しかしそれらが全体として構成する社会参加支援システムにおいては、他の先進諸国(とりわけEU諸国)では特段に重視されている、社会階層上不利性を負った若年層への公共的支援が構造的に欠落しており、一方で深刻化する若年層の縁辺化状況との深刻なギャップを呈していると考えられること(この構造的問題は、近年各省庁レベルで若年者支援政策が活発に展開され、相当額の公金が支出されていることに鑑みると極めて深刻である)。第三に、支援の原理・方法面では、概して「個人化」「就業重点化」志向が強化しつつあるが、この点はEU諸国でも移行期支援の論点であり、今後はそのなかでも特にユースワークの原理・方法を日本でも意識的に学ぶ必要があると考えられること。 現在実施しつつある、移行期支援者の仕事調査の結果もふまえ、2007年度においては代表者の在外研究機会を生かして、これと同様の調査をEU諸国でも実施することを通して、とりわけこの第三点の検討深化をはかりたい。
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Research Products
(2 results)