2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における産学連携のアメリカモデルの導入とその変容:カナダの事例との比較から
Project/Area Number |
17530615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤墳 智一 宮崎大学, 大学教育研究企画センター, 助教授 (30248637)
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Keywords | 高等教育 / 産学連携 |
Research Abstract |
本研究の計画と課題:本研究ではまず、近年、国立大学に相次いで設置された共同研究センター、TLO(技術移転機関)、知財本部などの技術移転ユニットについて組織構造、役割分担、連携の視点から実態を分析する。その結果を踏まえて、国立大学における技術移転方法の変化、このようなアメリカモデルの導入の効果を明らかにすることが本研究の課題である。 文献調査の結果:文献レビューからは、1990年代の政策においてTLOの重要性が過大に評価されたこと、TLO法以前のインフォーマルな技術移転の効果について評価が分かれていること、こうした評価の違いがその後のTLOの機能に関する評価の違いへとつながっていることなどが明らかになった。例えば、技術移転が複雑かつ多様なプロセスを必要とするのに対し、初期のTLOは優先すべき事業に自身の業務を限定せざるを得なかった。これは制度改革を急いだために今も残されている課題であるが、同時に、急速な改革を可能にした背景でもある。 国内調査の結果:国内の大規模大学においてテクノロジーマネージャーを対象とするインタビュー調査を実施した。技術移転のための部局間の連携は必ずしも効果的ではないこと、技術移転ユニットは特許申請に限らず多種多様な新規事業に着手していることなどが明らかになった。 海外調査の結果:カナダの大規模大学においてテクノロジーマネージャーを対象とするインタビュー調査を実施した。これはアメリカモデルの導入について比較し、日本固有の傾向を明らかにするためである。一つのリエゾンオフィスが技術移転の全プロセスを管理しているという事例について調査したところ、リエゾンオフィスの組織構造や業務形態は、アメリカモデルよりも、創始期から深く関わる指導者グループの考えが強く影響していることが明らかになった。
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