2005 Fiscal Year Annual Research Report
教育における能力主義の原理と新自由主義時代におけるその実態:理論的及び実証的研究
Project/Area Number |
17530616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 裕 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30253933)
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Keywords | 能力主義 / 個人 / 競争 / フーコー |
Research Abstract |
本研究の目的は、一方で(ア)教育における「能力主義」とはいかなるものなのかを、改めて原理的に社会理論的に考察すること、他方で(イ)今日の教育の実態の中では、能力主義の原理がどのような顕れ方をしているかを社会調査の方法によって把握すること、である。本年度は、これらのうち、とりわけ(ア)に関わる作業に専心した。 (ア)に関わる研究は、教育における能力主義の原理論ということになる。そこにおいて研究代表者は、主にM・フーコーの議論に依拠しつつ、能力主義とは、日常的な教育過程の一側面としてそこを貫く「生-権力」が、生徒たちを「個別化」された「個人」へと「主体化」していく働きに支えられて普及しまた正統性を獲得し、逆にその働きを促進・正統化する「言説」のひとつであると、またそのように日常的な社会過程レベルに根ざしていることに支えられつつ、それはやがてよりマクロな社会の構成原理・正統性原理にまで迫り上がっていったと捉えるような、能力主義の原理論の構築を目指している。この目的に関わる作業として、今年度特に力を割いたのは、改めて教育における能力主義についての先行諸研究の検討・整理を行うことであった。研究代表者は、日本の教育研究において、能力主義についての多くの考察が積み重ねられてきたと考えている。そこで、教育における能力主義に対して上記のような理論枠組を採ってアプローチするとすれば、それら諸研究各々にどのような位置づけがされることになるか、このような観点から教育における能力主義についての先行諸研究の検討・整理を行った。その成果の一部として執筆したのが、「研究発表」欄に記す論考である。
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Research Products
(1 results)