2005 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児童・生徒の数学に関する学力保障の在り方に関する研究
Project/Area Number |
17530649
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
黒木 伸明 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (70059731)
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Keywords | 聴覚障害児童生徒 / 校外支援 / 学力保障 / 数学 |
Research Abstract |
特別支援教育を推進する上で,その学校全体での取り組みに加え,保護者,医療・福祉・教育センター,大学等の公共機関との連携が重要であることは周知の通りである.聴覚障害生徒に対する情報保障については,公的支援や私的なボランティア的支援によりある程度の成果が得られている.しかしながら,彼らに対する学力保障については,教育現場での懸命な努力にも関わらず十分とは言い難い.ここでは,ボランティア的な支援の経験を通して,聴覚障害児童・生徒の数学に関する学力保障の私的校外支援の在り方を検討し,その有効性を明らかにした.著者は5年ほど前から聴覚障害生徒の公立中学校通級学級および都立の聾学校に出向き,現場教師やボランティアと共に放課後や土曜日を中心に「算数・数学教室」を開講している.この教室を通して,児童生徒やその保護者に対する,予習・復習を含む家庭学習の習慣が有効であるという意識を持たせることが,結局は学力保障に繋がることを認識させることができた.(ろう教育科学47(3)(2005)133-143「聴覚障害生徒の算数・数学についての学力保障に対する校外支援の在り方」) また,聴覚障害児童・生徒の算数・数学学習において,多様な見方・考え方を引き出すことが可能な教材の開発を聾学校教員との共同で行い,「算数・数学の授業」(120号)という雑誌に発表した.その1つは,5角形の内角を求める問題である.平面図形の問題は,補助線の役割がその解決に重要な役割を果たすといわれているが,ここでは,「任意」直線を補助線としても解決出来ることに触れさせることで,数学の多様性・自由性を感得させることが出来た.さらに,聴覚障害生徒の数学的思考の様相を立体図形の分類を例に分析し,この事例では,普通児に劣っていないことが確認出来た.
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Research Products
(3 results)