2005 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害者の思春期の心理と成人期移行支援プログラムの開発に関する心理学的研究
Project/Area Number |
17530686
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10211187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 創一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10292997)
池田 一成 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50293006)
細川 かおり 鶴見大学, 短期大学部, 助教授 (50259199)
霜田 浩信 文教大学, 教育学部, 講師 (80364735)
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Keywords | 発達障害者 / 思春期 / 成人期移行 / 支援プログラム / 心理学研究 |
Research Abstract |
発達障害者への支援は、将来、地域で自立した生活を営むことを目標に行われる。しかし地域での自立した生活への移行を前にした思春期は二次性徴に代表される身体的な変化とともに心理的、行動的な変化が生じ、発達障害の多くに適応上の問題が出現する。数年から時には十数年にもおよぶそのような適応上の問題は、思春期・青年期に起こる心理・行動上の混乱のひとつと考えられる。ただ、健常者がそうであるように発達障害のある彼らにおいても、その後、20歳代の後半から30歳代にかけて誰もが落ち着きを示し、安定した人格を示すようになるとされている。しかしこのことは、これまでは臨床現場での経験のレベルに留まる知見である。本研究は、このような経験的、臨床的知見を集積、体系化し、そのメカニズムを科学的に解釈するとともに、よりスムーズな成人期への移行を目的とした、思春期から成人期への移行支援プログラムの開発を目的とするものである。 初年度の今年度は、思春期から成人期の発達障害者に生じる適応上の問題の実態を明らかにした。対象は、関東地区にある知的障害者通所授産施設(2カ所)と地域作業所(2カ所)を利用している発達障害者204名。彼らを対象に、支援を担当する職員に16カテゴリー計106項日からなる、『不適切行動チェックリスト』をつけてもらった。さらにチェックリストにより明らかにされた不適応行動と先行研究において行動障害と関連の深い要因とされる家族履歴の変化の有無、精神疾患の有無、生理の問題の有無、てんかんの有無の4要因との関係から分析を加えた。その結果、家族履歴の変化の有無は睡眠における問題と、精神疾患の有無とは食関連の問題が、生理の問題の有無と暴言が、そして、てんかんの有無と睡眠における問題との間に関連が見出された。そこで、これらが、どのようなメカニズムで関連しているのかの解明が今後の課題とされた。
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Research Products
(7 results)